海外ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」シーズン4第3話「最後の問題(The Last Problem)」感想です。
シーズン4最終話、そしてドラマの最終話です。もう終わりなんて悲しい...
ドラマオリジナルキャラである、妹ユーラスの登場はどう影響してくるのか?
では、以下ネタバレあり感想です。
ユーラスへ会いに
映画を鑑賞中のマイクロフト。突然フィルムがおかしくなり、女の人の声が。
マイクロフトは犯人を追い歩き回ります。
絵の中の人物が瞳から血を流す、ピエロが剣を持って襲ってくるなどホラーちっくなのが良かったですね。それにしても、傘の中身は剣で、しかも刃の部分を取り除けば銃になるなんてすごいな。
この演出はシャーロックプロデュースによるもので、それはユーラスの存在をマイクロフトに認めさせるためのものでした。
ジョンに促され、ベイカー街221Bに来たマイクロフト。
嫌々ながらも依頼人の座る椅子に座り、ユーラスという妹がいることを明かします。
マイクロフトは「非凡」である一方、ユーラスは「ニュートン以上に時代を築く天才」と評されるようなすごい人物だったこと。
ユーラスはナイフで自傷行為をしていた理由は、筋肉の動きを確かめるためであり、痛みは感じなかったこと。
そして、赤ひげというシャーロックお気に入りの犬をどこかに閉じ込め殺し、家を放火したのです。
事態を重く受け止め、ユーラスは施設に連れていかれますが、そこでもユーラスは放火を起こし焼死。したということに叔父さんがでっちあげ、現在はシェリンフォードと言う島で隔離されています。
シャーロックはひどいショックからユーラスの存在そのものを記憶から消去していました。
その島にいるからユーラスが出てこられるはずがないと言うマイクロフトですが、現にシャーロックは依頼人に依頼人に扮したユーラスに会い、ジョンはセラピストに扮したユーラスに麻酔銃を撃たれているのです。
ベイカー街221Bで話をする3人のもとへ、歌うドローンが登場。
そこには「辛抱爆弾」と呼ばれる、少しでも動いたら爆発する爆弾が搭載されていました。
流石はマイクロフト、爆弾の性能を知っているため、爆発による影響はこの部屋と階下のみであると瞬時に判断。
シャーロックは、普段の行動からしてハドソン夫人はあと2分で掃除を終え、裏に掃除機を置きに行くと推理。
ハドソン夫人が裏に行ったその瞬間に、シャーロックとジョンは窓から飛び降り、マイクロフトは廊下からハドソン夫人を助けに行くと決め、シャーロックの合図で決行。
この、3人の会話が頭良いのにアホでもう面白かったですね~
ベイカー街221Bが爆破されるというのは、『最後の事件』のオマージュですかね?
爆破にまで巻き込まれたため、ユーラスに会いに行くことにした3人。
マイクロフトの権力でまっすぐ正面から島へ入れるでしょうに、ユーラスを警戒してジョンとシャーロックは島の付近にいる漁船を「海賊だ」と言って乗っ取ります。
こんな風貌の海賊いないでしょ😂もう本当に突飛な手法には驚かされます。
「妹に伝えろ僕が来た」と砂浜に大々的にメッセージを書き、あえて拘束されたジョンと、船を乗っ取られた男の片方。
これシャーロックの変装でしょ、と思っていたら、案の定島の所長もそう言及。
すると、変装をといて現れたのは、なんとマイクロフト!まさかマイクロフトがこんな手法にのっかってくるとは!
その隙に職員に化けたシャーロックが、ユーラスを見に行くという筋書きだったのです。
5年前のクリスマスプレゼント
ユーラスと話した人物は再プログラムされ、汚染されると話す所長。実際に、ユーラスと話した医師は、ユーラスに家族を殺した方がいいと言われ、無理心中してしまったのだとか。
それを聞き、危機感を覚えたジョンは、無線で繋がっているシャーロックに「バチカンのカメオ」つまり危険が迫っていると伝えますが、ユーラスとの会話に集中したいシャーロックはイヤホンを外してしまいます。
ユーラスに言われるがまま、ガラスに近づき、ガラスに触れようとするシャーロック。
すると、同じようにガラスに手を当てていたユーラスの手と触れ合ってしまうのです。そう、つまりユーラスとシャーロックを隔てるガラスは最初からなかったということ。
あっけにとられたシャーロックは不意をつかれ、ユーラスに気絶させられてしまいます。
一方、「ユーラスと話すと誰もが再プログラムされる」という言葉、そしてずっと流れているユーラスと誰かが会話している映像から、所長もユーラスと話していること、つまり所長もユーラスの言いなりになっているという事実に気づいたジョン。
ジョンに気づかれたと悟った所長は、すぐに緊急アラームを鳴らし、セキュリティを呼びます。
一旦は拘束されようとするジョンでしたが、さすがは元兵士、すぐに倒して脱出しようとします。
しかし、突如流れた映像にはなんとモリアーティの姿が。びっくりして動きを止めたジョンは、背後から襲われてしまいました。
5年前のクリスマス。
マイクロフトがこの島に呼び寄せたため、モリアーティはヘリで現れます。
QueenのI Want to Break Freeを聞きながら、というのが何ともいい演出ですねぇ。
マイクロフトはユーラスの頭脳を国家のために使わせており、その対価として毎年クリスマスにユーラスの要望を聞いていたのでした。
前の年はストラディバリウス、そしてこの年は5分間監視なしでモリアーティと会話をしたい、というものだったのです。
ユーラスはシャーロックに興味を持っているモリアーティに関心があったということで、モリアーティにしてみればシャーロックの弱みを握る大チャンスなわけで。
これを許可するマイクロフト...本当にお前はシャーロック以上の天才なのか???どう考えてもよくない化学反応を生むに決まってる。
もちろんマイクロフトは監視カメラで会話を聞こうとしていましたが、監視カメラの映像は切断され、何を話していたのかはわからずじまい。
1つ目の部屋
モリアーティが生前に残した映像とユーラスによるリアルの映像により、シャーロック、ジョン、マイクロフト、所長はユーラスの実験のモルモットとなることに。
もちろん従おうとはしませんが、自分以外が全員寝ていながら飛行し続ける飛行機の中の少女と電話により、その少女と会話の時間を得て救うため、実験に付き合わざるを得ません。
まず1つ目の実験は、マイクロフトかジョンのどちらかが所長を殺害すれば、所長の妻は助かるというもの。
所長の妻は拘束され、ユーラスが殺そうとしている映像が映ったため、所長は自分を殺してくれと懇願。
シャーロックは銃をマイクロフトに託そうとしますが、マイクロフトは絶対に殺人なんてしないと断固拒否。
やむなくジョンに託します。所長の懇願により、自身も妻のいた経験があるジョンは引き金を引く一歩手前までいきますが、やっぱりできません。
この、マイクロフトの態度というか、佇まいがもうまさにマイクロフトですよね。情がない。普通はジョンみたいに葛藤するだろうに、人が死ぬっていってんのに自分の手は汚したくないと断固拒否して譲らない、我関せずな感じ。
そしてやっぱりジョンは漢って感じですよね~良くも悪くも肝が据わってる。引き金は引けなかったですけど(引けない方が良かった)、本当に殺す手前までいったわけで。流石だわ。
どちらも自分を殺してくれないと悟った所長は、銃を奪い取り、自分の喉をめがけて発砲。自殺してしまうのです。
しかし、条件は「マイクロフトかジョンが殺す」だったわけですから、ユーラスは所長の妻を殺し、ジョンに対し「あなたの道徳心のせいで2人も死んだ」「道徳心なんて不要」と言い放つのです。
所長の死、そして所長妻の死に驚きつつも、次の部屋へ進めと指示を受けると、受け入れるジョンとシャーロック。うろたえるマイクロフトに対し「兵士になれ」と言うジョンはやっぱり元軍医だけあるなぁ。
2つ目の部屋
次の実験は、警察が見抜けなかった容疑者3人ガリデブから引き金を引いた犯人を見つけ、有罪を言い渡せというもの。
3人の容疑者が海の上につるされ、有罪を言い渡せばロープが切られるというのです。
かといって容疑者を推理しなければ、どこかの空を漂う飛行機の少女を助けることができません。選択肢はないのです。
ユーラスの操り人形にはなりたくない、と非協力的なマイクロフトは放って、シャーロックはジョンの意見を聞きながら推理を始めます。
凶器のバッファローガンと容疑者3名の写真を手掛かりに推理。
凶器は十字線のない旧式の照準器がついている1940年代のもの。容疑者の1人、ネイサンは眼鏡をかけていますが、仮に眼鏡をしたままこの銃を使うと照準器で眼鏡が割れてしまうため、ネイサンは除外。
もう1人の容疑者ハワードは酒依存症で手が震えるため、長距離射撃なんてもってのほか。
ここでマイクロフトも協力し、最後の容疑者アレックスはレーシック手術を受けていて目がいい事、服装からお洒落のためにレーッシク手術を受けたわけではないことが明らかになり、アレックスが犯人だとユーラスに告げます。
すると海に落ちたのはアレックス以外の2人。戸惑い怒る3人に対し、ユーラスは「有罪と無罪で殺されることに違いがあるのか」と問うのです。
結局アレックスも海に落とされ、死んでしまいます。
いやぁ、死刑制度の是非にも通じる疑問ですよね。調べたところイギリスでは、1998年に死刑が完全廃止されているようです。
税金や場所の問題から死刑を容認する意見も多いですが、個人的には殺人と同じだと思っていますので、ユーラスの言葉はなかなか響きましたね。まぁユーラスは結局3人とも殺しちゃってるんですけど。
この試練の題材となったのは射殺犯のガリデブを追う『3人ガリデブ』、まさにそのままのタイトルですね。ガリデブが3人そろえばお金がもらえる、という奇妙な事件への導入が面白いです。
3つ目の部屋
次の部屋には棺桶がひとつ。
この棺桶は誰のものか推理しろ、というのです。
棺桶の長さや窪み方から身長や体格を推理するシャーロックに対し、蓋を見るよう指示するマイクロフト。この冷静さが流石はマイクロフトよな~シャーロックはまだまだ素直すぎるというか、純粋すぎる子どもっぽさがあります。そこが可愛い。
蓋には名前ではなく「I love you」との記載が。
シャーロックを愛していて、この棺に合う人...つまりモリー。
ユーラスは、モリーの自宅に爆弾を仕掛けたというのです。爆発を止めるには、3分間の間に、電話でモリーに「I love you」と言わせなければならないとの条件。
そしてユーラスがシャーロックの携帯からモリーに電話しますが、そもそも電話に出てもらえない。笑
なぜ電話に出ないと不思議がるシャーロック。そういうとこだよ、だから電話に出てもらえないんだよ😂
ユーラスも流石に不憫に思ったのか、もう一度電話してくれ、やっと会話ができます。
しかし、シャーロックがIn love youと言ってほしいとお願いしても、案の定モリーは言ってくれません。
タイムリミットが迫る中、「本当のことだから言えない」とモリー。そして、シャーロックが言ってくれたら言うとモリーが妥協し、なんとか時間ギリギリで言ってもらうことに成功。
早く爆弾を止めろ、と焦るシャーロックに対し、「面倒だから爆弾なんて仕掛けていない」「ただ気まずくなっただけ」とユーラス。痛烈~~
感情を爆発させるシャーロックに対し、ジョンが話しかけようとすると、シャーロックから「兵士」と言います。もう無言で通じる。
けれど、この感情丸出しな感じはドラマのシャーロックって感じですね。レアな感じ。
4つ目の部屋
次の部屋では、ついに一発だけ弾が残った拳銃の出番。
その拳銃で、ジョンかマイクロフトどちらかを殺せというのです。
「頭脳が必要だからジョンを殺せ」「お前は昔から家の恥だ」と散々シャーロックを煽るマイクロフト。ジョンも腹立たしいながら、「マイクロフトが正しい」と自分を殺すよう促します。
しかし、マイクロフトはあえてシャーロックを怒らせ、自分を殺させようとしており、もちろんシャーロックもそれに気づいているのです。
シャーロックが撃とうとしないので、「これは私のミスだ」と、5年前のクリスマスに、ユーラスとモリアーティに5分間の会話を許していたことを告白するマイクロフト。
ユーラスは「モリアーティはこの結末を読んでいた」「ホームズがホームズを滅ぼす」と嬉々としますが、それを聞いたシャーロックはたった5分で破滅させる方法を考えていたという事実を許すことができません。
そして「勇敢な男を見習う」と、所長と同じように自殺するべく、銃を自らの顎に当てるのです。
それを見たユーラスは焦り、首の後ろから3人ともに麻酔銃を打ち込みます。
シャーロックが自殺を選ぶ、というのはきっと5年前じゃ想像もつかなかったんだろうなぁ。こんなに成長しちまって...
それとマイクロフトも相当成長してますよ。前だったら、純粋な本心で「頭脳が必要だから」とジョンを殺すよう提案していたでしょうし。いやぁ、原作ではあまり登場しなかったマイクロフトをこんなにも愛すべきキャラにしてくれたドラマに感謝です。
少女の正体
目が覚めると、独房に入れられていたシャーロック。程なくして、隣からジョンの声も聞こえてきます。
当初はそれぞれ別の独房に入れられていると思っていましたが、ジョンは足を鎖で拘束されたまま、井戸に入れられていることが判明。
井戸には水が流れ始め、シャーロックが「マスグレーヴ家の儀式」つまり最初で最後の問題を解かなければ、ジョンを、飛行機の少女を助けることができない状況に。
儀式文が在りかを示すという『マスグレーヴ家の儀式』の設定を借りた、という感じですね。
少女ともジョンとも会話しながら推理していくシャーロック。
ジョンは井戸の中で骨を見つけますが、なんとその後頭蓋骨も見つかります。
ユーラスがどこかへ隠し、殺してしまった赤ひげは、犬ではなくシャーロックの友達、ヴィクターだったのです。
墓石に書かれた「ネモ」とは誰も~ない、つまり墓石の数字が歌の謎を解くカギ。
それを解いたシャーロックはユーラスの居場所を突き止め、飛行機の少女はユーラスだったことにたどり着くのです。
ユーラスは頭がよすぎる故に友達がおらず、シャーロックを赤ひげことヴィクターにとられたと思い、殺してしまったということ。
空の上でひとりぼっちのユーラスは降り方が分からない、自分は地上にいるけど一人じゃない、とユーラスに語り掛けるシャーロック。
うーーーーーん、飛行機の少女はユーラスの被害妄想ということか?なんとなくまだモヤモヤ。
そしてユーラスから井戸の場所を聞き出し、ジョンを救出。
ベイカーストリートボーイズ
その後、ユーラスは再びシェリンフォードへ。
両親にもユーラスが生きていることを告げ、みんなでユーラスに会いに行くのです。そしてバイオリンを演奏するシャーロック。
一方、爆破でめちゃめちゃになったベイカー街221Bを元通りに。
壁に向かって発砲し、棚にナイフを突き立てるところまできっちり再現。
メアリーからのビデオメッセージ「2人が何者かなんて関係ない」「私達には最後の希望」「これまでもこれからも彼らはそこにいる」「最高に善良で賢い男たち」という最大限の誉め言葉をBGMに、ベイカー街221Bで次々と事件を解決(子育ても)していく2人の様子が描かれます。
途中で『踊る人形』の踊る人形が黒板に描かれたり、モリーとも関係が良好そうな様子が見られたり、とほっこり。
これからも2人はこの部屋で事件を解決していくんだ、というのが描かれていて、なんとも心が温まります。原作ではシャーロックは引退してしまいますが、ドラマではまだまだこの生活が続くことが描かれていて、それがとても良かった。
最後に
いやぁついに終わってしまった~~
最終話は事件の面白さみたいなのはあまりなかったですけど、最終話っぽい詰め詰め感は盛りだくさんでしたね。シャーロック自身の成長が感じられました。
ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンをキャスティングしたのがもう大正解すぎて最高でしたよね。天才な変人と、常人に見えて実は変人っていうのがいい演技でした。
これで一応ドラマ完結なわけですけど(現時点では)、スペシャル版がまだ残ってますから!と自分に言い聞かせて寂しさを紛らわしております。
では、お読みくださりありがとうございました!