秋をすっ飛ばして冬がやってきそうな季節。
冬になると聞きたくなる曲ってあると思います。例えばクリスマスソングとか。
そして、FRIENDSⅢがやってくることを匂わせる公式の写真。
今こそ、この記事を書くしかないと思いまして。
(実は来週から涼しくなると聞いて、UNITE書き終えたらこの記事を書きたいな~ハロウィン終わってクリスマスモードに切り替わる前にはアップしたいな~と題名だけ下書きしていたところなんです)
それはずばり、「FRIENDS」です。
続編の「FRIENDSⅡ」も名作ですが、やっぱりまずは第1作を聴いて欲しいですし、まだまだ人生経験の浅い私にとって「FRIENDSⅡ」はアダルティで理解が及ばない部分も多く、さらには映画のようなストーリー仕立てになっている「FRIENDS」の方が好きなんです。
ちなみに、「FRIENDS」も「FRIENDSⅡ」もミニアルバムという括りだそうです。
ということで、以下収録曲順に簡単な曲紹介と好きな部分について綴っていきたいと思います。
曲の解釈は私が勝手に思っていることですので、全く違う可能性があります。また、音楽に詳しくないので幼稚な感想となっています。あしからず。
- Prologue : Friends
- SCENE1 : いつかのメリークリスマス
- SCENE2 : 僕の罪
- 2-2 : Love is...
- SCENE3 : 恋じゃなくなる日
- SCENE4 : SEASONS
- SCENE5 : どうしても君を失いたくない
- 6 : いつかのメリークリスマス(Reprise)
- 最後に
Prologue : Friends
歌詞なしのいわゆるインストルメンタルです。
ここから切ない物語が始まるのですよ...
曲自体は2分ないくらいのもので、まさにプロローグ。
少し切なげで繊細さを感じさせる音が、世界に引き込みます。
SCENE1 : いつかのメリークリスマス
このアルバムで一番有名な曲、いつメリ。クリスマスシーズンになると街中でもよく聞きますよね。
私も歌の意味をよく考えず口ずさんでいましたが、しっかりと歌詞を聞いてみるとむちゃくちゃ切ないんですよ。
過去を思い出している男の歌だと気づいたときの衝撃といったら。なぜクリスマスって悲しい切なげな歌が似合うんでしょうね。
題名のとおり、過去付き合っていた彼女と過ごした"いつかの"クリスマスを思い出している歌です。
イントロのオルゴールがとても素敵だと以前から思ってはいたのですが、Prologueを引き継いでのオルゴールなのだと気づいた日は青天の霹靂でした。
やっぱり曲は単体で聞くのではなく、アルバムで通して聞くのが醍醐味だと改めて感じました。
離れることはないと 言った後で急に僕は 何故だかわからず泣いた
この歌詞、沁みますよね...付き合ってるときって別れるなんて微塵も思っていなくて、ずっと一緒だって根拠なく信じちゃうし言っちゃうものじゃないですか。
でも、本当にそうなるとは心のどこかにいる冷静な自分は思っていなくて、それが涙となって流れてしまったんですよね。自分でも分からないうちに。
しかも、それを別れてから思い出すという...切ない...
私的一番切ない歌詞は
立ち止まってる僕のそばを 誰かが足早に 通り過ぎる荷物抱え 幸せそうな顔で
です。歌のラストです。
曲の序盤で、彼女が欲しがった椅子を買って帰っていた、とても幸せだった主人公が、曲の最後にはそんなかつての自分みたいな人とすれ違うわけですよ。
幸せそうな街中の人を見て、自分は過去を思い出して立ち止まってしまう。かつての自分と今の自分を対比してしまう。こんなに悲しい事ってありますか。
街中の幸せムードが最高潮になるからこそ、クリスマスという時期は切ない歌がぴったりなのかもしれません。
ここで買うのが指輪とか靴とかじゃなく椅子というのがいいんですよね。
恋人に贈るありきたりなプレゼントではなく、その彼女が本当に欲しがっていたもの。
しかも椅子なんて、同棲している雰囲気が漂ってきます。
だからこそ、それほどに本気の恋だったんだろうなと思わされて余計に切なさが募るんです。
SCENE2 : 僕の罪
SCENE1で幸せだった過去を思い出していた主人公。
SCENE2ではついに、忘れることができない彼女にコンタクトをとります。
やめた煙草に手を出すように 君に電話をかけている僕は
元カノに連絡を取るという表現でこれほどまでに秀逸な比喩ってありますでしょうか。
主人公は、まだ別れてから十分な時間を置くことができていないのに、諦めきれずに電話をかけてしまうんです。
しかも、それが「僕だけのフライング」なのがまた辛いところ。
やりたいことをやるためだと それぞれの道を選んで
別れたことをもうすっかり 忘れてしまいそうな時が続くよ
という歌詞が、妙にリアルで危うさをはらんでいますよね。
SCENE1では仲睦まじそうだった2人が別れたのは仲たがいとかではなく、互いの夢を追いかけるためだった。
それなのに、その目的を忘れてまた楽な方へと流されていくんです。
一時はとても楽しくて甘い時間かもしれない。
けれど、お互いのやりたいことを本当に叶えるなら、きっと同じことの繰り返しじゃまたダメになってしまうはずなのに。
だからこそ、"時は十分に過ぎてない"んです。
ポップな曲調ながらどこかに不安定さを感じるところが、単純なハッピーエンドにはならなさそうな気配を感じさせます。
また、ガラスが割れる音がするんですよね。つまり、割れる=break、恋が終わることを示唆しているのかも、と思ってしまいます。
極めつけは、
罪がはじまってくりかえす
が次への伏線になっているんですよ...
2-2 : Love is...
インストルメンタルであるこちらはSCENEとなっていません。
ですから、SCENE2とSCENE3の間のつかの間の休息であり、SCENE2が少しづつ形を変えながらSCENE3に移行している様を表しているんだと思います。
この曲はSCENE3となる「恋じゃなくなる日」のメロディをオルゴールで演奏したもの。
SCENE2でやり直した恋人達の幸せがそのまま続くわけではなく、また変化することを巧く表現していると思います。
SCENE3 : 恋じゃなくなる日
Love is...とうってかわり、ギターのサウンドで始まるこの歌はメロディが同じながらも与える印象が大きく異なります。
SCENE2で再び連絡を取り合い、付き合うようになった2人は"恋じゃなくなる"ことを選ぶのです。
「僕の罪」で示唆していた同じ過ちを繰り返してしまうのです。
私、この曲を初めて知ったのはベストアルバムだったので、当初は男性の心変わりを歌った歌なのだと思っていました。
彼女のことは好きだけど、それは恋愛的な意味での好きではなくなってしまったことに気づいた彼氏側が、彼女と別れることを決めるまでの様子を描いたものなのだと。
自分が振られた経験を思い出しては、彼も実はあの時こんな気持ちだったのだろうか、とか勝手に曲に合わせて思いを巡らせたりもしていました。
しかし、「FRIENDS」を知り、通して聞いたときにこの曲に対する考え方が変わったのです。
そんなに単純な意味の曲ではないと。
昔別れた彼女のことがまだ忘れられなくて、もう一度付き合うことにしたけれど、やっぱり互いの夢を追うためには別れる方がいい。
単に好きじゃなくなったわけではなくて、好きなんだけれど、でも彼女と恋愛をしていては「夢」を追えない。だから恋愛じゃなくしたんだと。
(この「夢」というのも本当に夢があったのかどうかが怪しい所がまたいいんですよね。)
元々抱いていた男性の心変わりを歌った歌、というイメージの時からとても好きな曲でしたが、より深い意味でこの曲を捉えられるようになってからはB'zの中でもトップレベルに好きな曲へとなりました。
もちろん、単純な心変わりを歌った歌と考えても歌詞的には成立しますし、自分が聴く時の状況によって捉え方を変えられるのもいい歌である証拠ですから、その時の気分でいろいろ考えながら聴いています。
言いたいことが からだの奥で渦巻いてるけど
言葉にできないそのことに 今はいらだつこともないよ
これ、すごくよく分かる分切ないんですよね。
相手との関係を大事にしているときは、関係を続けていきたいと考えているときは、言いたいことをちゃんと伝えて、喧嘩もきちんとするんです。
でも、その相手がそこまで大事ではなくなったとき、より良い関係を築こうと考えなくなったとき、相手に諦めを抱いたときはもう言わなくなるんです。
言ったところで無駄、喧嘩するだけ疲れる、と伝えることに見切りをつけて我慢しちゃうんです。
でもその我慢は、関係の終わりが近づいているサインなんですよね。
昔によく似た日々が続いている / でもけっして昔と同じじゃない
これもそうなんですよね...
昔と同じように見えても、考えていることは全然違うわけで。
なんなら、そう見えるように装っているわけですよ。
極めつけは
ほんの少し 離れて歩く 傷つかないように
ほんの少し 口数を減らしてる 大事なものなくさないように
ですよね。自分の心変わりを相手に悟られて傷つけないように、少しずつ察してもらうようにするんです。
主人公の場合、嫌いになったわけではないので、相手を思いやるこういう気持ちが顕著だと思うんです。
しかし、やっぱり「夢」と両立できるほど彼女を思いやれないんです。
"僕らが追ってる夢は本当は同じかもしれない"けど、自分の夢を叶えるためにはやっぱり彼女を大切に扱うことはできなくて、彼女が"孤独で疲れている"ことが分かっても自分の"ひとりよがり"で彼女と恋をすることをやめる。
ここで注目すべきは、「恋じゃなくなる」なところなんですよね。
関係が完全に終わって彼女と切れるわけではなくて、恋人ではなくなるということ。
まさに、次のシーズンへと続いていくわけです。
曲の最後の、
そのまま僕はじっと空を見上げてる 恋じゃなくなった日の空を
というフレーズがとても好きなんです。
「恋じゃなくなった日の空」、なんて詩的な表現なんでしょう。
この曲は特に、直接的な歌詞が少なくて、動作や情景で主人公の気持ちが、2人の関係がありありと伝わってくるところが好きです。
歌詞以外の部分でいうと、主人公の葛藤が伝わってくるメロディが好きです。
特徴的なピアノ(キーボード?)の音が、主人公が心を決めきれない様を表しているように感じるんですよね。
そして稲葉さんの歌い方に主人公の感情がこもっている気がするんです。
シャウトしているわけではないのに魂がこもっているというか、決して力強いわけではないんですけどどうしようもない気持ちが伝わってくれるというか。
低めの、かすれた声がいいんですよ。サビ終わりの叫ぶような声が、悲痛な主人公の叫びのように聞こえてきます。
SCENE4 : SEASONS
今回はインストルメンタルですがSCENE4となっています。
つまり、いくつもの季節がSCENE3とSCENE5の間に流れているんです。
アコースティックギターの穏やかな曲が、恋人ではなくなった2人にその後大きな変化はなく時が流れていったことを表しているように感じます。
SCENE5 : どうしても君を失いたくない
大きな変化のないいくつもの季節、SCENE4を経て、ついにSCENE5へ。
再び別れを選んだ主人公は、やっぱり彼女を忘れることができないのです。
大きな起伏のない曲調は、かつての激しさを感じさせません。
しかし、決して落ち着いた曲調でもなくて、恋人に戻ろうと思うほどの決意はないにしろ、現状に満足していない、まだ彼女のことを過去の人として捨て去ることができない気持ちを表していると思います。
人気のない交差点を並んで歩く二人が見える
この情景を、主人公は"明け方の濡れた道"で"ひとり車を停めて"見るわけです。
主人公は"戻ることのない時の中で心燃やした相手"、つまり彼女を"失いたくない"と強く思っているにもかかわらず、彼女のほうは他の誰かと明け方に歩いているわけです。
これとっても切ない状況ですよね。
自分が忘れられなくてもう一度付き合って、でもやっぱり恋じゃなくなって、でも忘れられない。
ここの二人は、主人公が思い出したかつての二人のことを表しているのかも、という解釈もできます。
しかし、"窓に落ちた雪が溶けてなくなっている"ので、その時点で回想は終わって現実が見えていると思うんですよね。
主人公は彼女を忘れられなくて、過去の人としてしまうのではなく、"過去に蓋をして生きる"とか、"激しく憎み合って忘れる"とか、何らかの決着をつけたがっているのです。
その一方で彼女は次の道へと進んでいる...悲しすぎませんか...
そして特徴的なのは、
恋じゃなくなることは 人を裏切ることになるのか
愛を貫くことの結果は ひとつなのか
という歌詞。
ここで思い出したいのは、「恋じゃなくなる日」の
恋という形のために壊れるものがあること
という歌詞です。
ここから推測するに、主人公は「夢」を追いかける過程で彼女と破局して離れ離れになってしまうくらいなら、友達として関係を続けていきたいと考えたのではないでしょうか。
そう考えて恋人関係を終わらせた主人公は、でもやっぱりただの友達では満足できない。
なぜなら、主人公は"走る夢"を見て、"一緒に海で波の音を聞いて砂の上で踊る"という願いがあるからです。
「いつメリ」の幸せだった頃の過去を思い出し、「恋じゃなくなる日」の微妙な関係の時に行った海に、今度は幸せな状態で行きたいわけです。
これって、彼女との関係を終わらせたくないから壊れる可能性のある恋人ではなく友達になることを選んだのに、やっぱり恋人になりたいということだと思います。
ただ、
同じ涙を流し合える かけがえのない人よ
という歌詞で恋とか愛とかそういう上辺の言葉では表せないほど彼女のことが心底大切なんだろうな、と思わされて余計に辛くなるんです。
きっと、主人公は恋人でも友達でもいいから、関係性なんて何でもいいから、とにかく大切な彼女ともう一度幸せな時間を過ごしたいのだと。
そんなにも大切な彼女と、2回付き合って2回ダメになってしまって、友達としても納得できる関係ではなくて、もうしんどすぎます。
そして、主人公と彼女の関係はこんなにも変わってしまったのに、"変わらない街のひとごみ"という描写でこの歌を終わらせるという表現方法。
時は無常にも流れ、変わってしまった二人の関係を戻すことはできないと言われているようで切ないです。
6 : いつかのメリークリスマス(Reprise)
友達になることを選びながらも、こんな終わり方は嫌だ、もっと適切な行き先があるはずだと悩んでいたSCENE5。
SCENEは5で終わりですから、関係が壊れることを恐れた結果、友達となりそのまま明確な行き先を見つけらない、理想的な行き先にたどり着けないでいるというのが主人公の結末です。
しかし、今作品の最後に「いつかのメリークリスマス」が再度登場する意味を考えますと、「どうしても君を失いたくない」の補強ができると思うんです。
「いつかのメリークリスマス」は幸せだった頃を思い出していた歌。
ということは、幸せだった頃が忘れられず、あの頃に戻りたいという主人公の願望が溢れ出たと考えられるのではないでしょうか。
つまり、恋だと終わりがくると考え友達に戻ったものの、どんな関係性でもいいと思ってるはずなのに、心の底では友達では満足できずやっぱり恋人に戻りたいのです。
いやもう切なすぎるでしょ...
そんなに大切な人なら友達に戻るべきじゃなかったんですよ...
最後に
松本さんは映画のサントラみたいなものが作りたいと思い制作されたそうです(Wikiより)。
過去を思い出し、復縁し、友達になることを選んだけど、やっぱり忘れられないという大恋愛。
本当に1本の映画を見ているみたいなアルバムで、1曲でも欠けてしまったら、順番が変わってしまったら意味がなくなってしまいます。
このミニアルバムこそ、アルバムの醍醐味を味わえるのではないでしょうか。
サブスクが当たり前になった今こそ、こういったアルバムがとても重要だと思います。
今回の続編となっている「FRIEDSⅡ」もなかなか上手くいかない二人の恋が描かれていますが、今作品みたくSCENEに分かれていないんですよね。
ですから私の解釈としては、「FRIENDS」は1つの物語であり、「FRIENDSⅡ」はオムニバスだと思っています。
これを受けて、次くる「FRIENDSⅢ」はどんなミニアルバムになるのか?
まだ発表されると決まったわけではないですが💦
しかし、期待しつつまた今度は「FRIENDSⅡ」を取り上げたいですね。
私が生まれる前に発表されたアルバムをこんなにも好きになれるなんて、とても幸せなことだと思います。
いい音楽って世代を超えるなぁと思いつつ、今なお素晴らしい音楽を届け続けてくれるB'zに感謝です。
では、お読みくださりありがとうございました!
↓「FRIENDS」のリンクです。聴くたびに好きになって、考えてしまいます。