海外ドラマ「クリミナル・マインド」シーズン2第1話「地獄からの挑戦状-後編-(The Fisher King2)」の感想です。
いよいよシーズン2に突入!第1話目はシーズン1最終話の続きです。
少しずつ提示される犯人からのメッセージをもとに、BAUは犯人を特定できるのか?
前編の感想はこちらです↓
では、以下ネタバレあり感想です。
いつものプロファイル
手掛かりがないためなかなか思うように捜査を進めることができないBAU。
手詰まりな雰囲気の中、ギデオンは手掛かりの無い時はどうする、と諭します。
ホッチ、モーガンはそれに対し被害者を見るべきだと悟り、暗号解読にリードを残して捜査に向かいます。
モーガンはJJと一緒に被害者のレベッカの失踪事件について調べに向かいます。
ホッチはエルを送るよう指示したアンダーソンがオフィスにいることに気づき、なぜ警護していないのかと怒ります。
一方、そのエルは血だらけで救護を受けており、その部屋には血で「ルール」と書かれていたのです。
焦った時こそ、詰まったときこそいつも通りのプロファイルをする、そうチームを諭すギデオンが頼もしかったですね~!
言葉少なく悟らせるというのがギデオンらしくていいです。
あんなに元気のなかったギデオンですが、我らがやっぱりリーダーです。
と思いきや、エルが撃たれたとの情報が入ったことによりまたもや覇気のないギデオンに逆戻り。自身は病院に残り、指揮はホッチに任せます。
公開捜査は仕方のないことだった、エルなら分かってくれる、とまるで自分に言い聞かせるようにつぶやくギデオンは見ていてつらかったです。
あんなにザ・リーダーという人でもやっぱり自信をなくす時はあるんですね...
というかギデオンには過去に仲間を大勢失ったつらい過去がありますし、やはりそれがトラウマ化しているからこそ余計にしんどいのではないでしょうか。
心配です...
ホッチから電話でエルの事を聞いたJJが運転するモーガンに伝えようとしますが、言葉がすんなり出てきません。
モーガンはいつもの調子で「リードが解決して俺達は無駄足?」と冗談を言いますが、JJのただならぬ気配に真顔になります。
エルのことを聞き、最初は信じようとしませんでしたが、真剣な表情のJJを見ると突然車を停めて無事を確認。手術中と聞くとすぐさま引き返そうとするのです。
普段冗談ばかりでふざけているモーガンだからこそ、こうやってシリアスな場面では真剣になるのいいですよね。
時折見せるマジは表情がとてもかっこいいです。最後の突入場面でもとってもかっこよかったですもんね~!役者さんの演技がいいです。
一方暗号解読を一任されたリードは、1年にたくさんの本が出版されているのにどう本を特定すればいいのだ、と悩む途中、ギデオンの元に贈られてきたカードを思い出します。
なぜ全盛期だった1959年のカードではなく1963年のカードを贈ってきたのか?そう、それこそがキーとなる本の出版された年だったのです。
リードがギデオンのカードを思い出した時点で舞い上がっちゃいました!
リードよりも早くひらめいたぞ!とるんるんでした。笑
問題はその年のどの本なのかということ。
ハッキングの犯人、フランク・ジャイルズはおとりであり、真の犯人はサー・ネイフであると気づいたガルシアにオルゴールにあった「誰の目にもそれは夜ではなく明るい昼間」を検索してもらうと、「百鳥の集い」という詩であることが判明。
ここで、リードは母が読み聞かせてくれた、チョーサーの世界で最初の恋の詩であることを思い出すのです。
このシーン、思わずガルシアに笑ってしまいました😂
「ママから恋の詩?やばくない?」って、もうガルシア最高です。
それを発見に夢中になっていてリードは全く聞いていないというのがよりいいです。
そしてリードの名推理が続きます。
天才リードが単に歩く辞書として活躍するだけでなく、推理する能力が高いというのもいいですよね。
最近はリードが事件解決のヒントとなる大発見をすることが増えているような気がします。犯人からの偽名での電話でも、いち早くアナグラムだと気づきましたし。その回転力の速さが素晴らしいです。
そんなリードはチョーサーが中世の作家であることに着目し、当時は集い(FOWLS)のスペルがFOWLESだったことから、イギリスの現代作家J・ファウルズの作品に目星をつけます。
ファウルズが1963年に出版した本はいろいろある中、カードにオルゴール、鍵とコレクションするものばかりであることに気づき、「コレクション」で検索するようガルシアに頼むと、まさに「コレクター」という題名の本がヒットしたのです。
しかもその表紙は鍵と蝶、そして髪の毛が描かれていました。
この一連の流れで最後表紙が明らかになったときの驚きといったら!
驚きというよりもむしろぞっとしましたね。ここまでの推理力を見せるリードはもちろん、あんなに狂気的な犯人がここまで理性的に犯行に及んでいたということがまたすごくて恐ろしいです。
犯人へと一歩近づくBAU
暗号解読のキーとなる本を見つけたリードは早速図書館に連絡。ページ数、行数、順番の3つで一つの単語を表していることを伝え、電話で司書とやりとりすることで暗号解読に取り掛かります。
そして現れたのは
結末への道は彼に始まる。まず彼女の心を癒せ。騎士の秘密を胸に窓辺に座る。冒険が彼女から彼を遠ざける。
というメッセージ。
若者が鍵を持つ、騎士の秘密、夜ではなく明るい昼間、などのワードからラスベガスにいるリードの母・ダイアナが事件解決の鍵となっているとひらめくのです。
若者が鍵を持つ、というメッセージで文字通り鍵が届いただけだったのに拍子抜けしていましたが、ここでもそれが効いてくるとは思いもよりませんでした。
いや本当に、今回のエピソードは前後編だけあってよく練られていて面白すぎます。
では、なぜリードの母親がこんなに大事な役目となっているのか?
なんと、それはリードが母親に書いている手紙があったからなんです。
バラす相手のいないリードには喋るみんなの秘密を母親への手紙につづっていたのです。
いやもう、まさかここまで伏線だったとは!やはり前後編となると伏線の張り方が贅沢ですね。
というか、話す相手がいないとさらっと自虐するリード、好きです。笑
毎日手紙を書くことをガルシアに褒められたリードは、罪滅ぼしで書いているから偉くはないと言います。
なんと、お母さんの病気は遺伝するらしいのです。
天才ゆえの宿命なのでしょうか...お母さんも教授だったようですし。つらいですね...
確かに、身内の弱っていく姿を見るだけでもつらいのに、自分の未来かもしれないと思うと余計に見られないですよね。
最後、飛行機で嫌がるお母さんに読み聞かせしているリードの姿に心がぎゅっとなりました。
リードとガルシアが母親の保護を依頼する一方、モーガンとJJはレベッカの誘拐事件を再調査するため、レベッカの家へ。当時の事件捜査を担当した刑事にも同行してもらいます。
ガレージを案内され、レベッカの物は処分できなくて、と喋る母親を目にしたモーガンは、母親のいないところで刑事と喋るためコーヒーが飲みたいと人払い。
察したJJが手伝うと後押しするチームプレイが良かったですね!
モーガンは普通、誘拐された子どもの部屋は片づけずにそのままにすると言い、何があったのかと刑事に聞きます。
すると刑事は被害者は薬や窃盗などを繰り返す問題児で学校に来なくても誰も気にしなかったので、捜査は行われなかったのだと言います。
それを聞いたモーガンは2年間誰も捜していないことにイライラ。非行の原因を聞くも刑事は逆ギレ。
虐待でもあったのか、とモーガンが聞いたところでタイミング悪く母親が戻ってきます。そしてレベッカは5歳のときに引き取った子どもだったと判明するのです。
ギデオンが言っていた、手掛かりがなければまず被害者、というのが大成功な予感。
元の名がレベッカ・ガーナーであったことが分かったためガルシアに検索してもらうと、なんと家族を火事で失っていたのです。
母親と子ども3人は焼死し、教師だった父親は助かったものの全身やけどで数年間ICUで過ごし、最終的にレベッカを養子に出したのです。
この全身やけど、でピーンときましたよね。
ホッチが尋問していた配達員が見た男は犯人を酷い顔だと言っていました。
いやでも、実の父親が2年も監禁なんてするのか?と半信半疑だったのですが...
その後、ガルシアがハッキングした犯人のIPを突き止めたため、サー・ネイフはランドル・ガーナーであることが分かったのです。
いやそんなことが...どうして...もう信じられないです。実の父親が...
家族を救えなかったことが後悔となり犯行に及んでしまったということだと思いますが、一度は親権を手放したのにもかかわらず監禁してしまうなんて。
しばし唖然としてしまいました。
ランドールはICUから退院後リードの母親がいるベニントン療養所に移っており、リードの母親が情報源となっていたことが確実に。
母親に聞くと、レベッカは実在の人間ではなく何かの比喩だと思っていたというのです。
つまり、レベッカがランドールの「聖杯」で、リードらBAUが「現代の円卓の騎士」なのです。
そして、FBIに保護される前に受け取ったというポストカードからランドールの居場所を特定し、ホッチ、モーガン、リードが現場に急行します。
犯人との対峙
妄想を現実だと思い込んでいるランドールは書斎にいる様子。
すぐさま突入しようとするモーガンとホッチを制し、リードが語りかけます。
当初はお荷物扱いだったのに、こんなにも成長して...!自ら出来る限りのことをしようとするリード、かっこいいです。
「正しい問い」で傷が治ると信じているランドールに対し、奇跡の問いなんてない、と話しかけつつ近づくリードが目にしたのは、胴に爆弾を巻き付けたランドール。
一瞬ひるみ、モーガンらに避難するよう一言いうとさらに近づき、話を続けるのです。
いやもうかっこよすぎですよ。そして引かないモーガンらもやっぱりかっこいい。
リードは何度も現実と妄想を引きはがそうとしますが、リードをパーシヴァルと呼び聖杯が欲しくば問え、と譲らないランドール。
「自分を許せるか」、との問いに「無理だ」と答え、そのまま起爆スイッチを押してしまうのです。
犯人の説得は上手くいかず自害させてしまったリードですが、モーガンらにせかされ非難する途中でレベッカの居場所を導き出し、なんとか救います。
母親に送った地図、で写真に写っていた窓の明かりだと気づくリード流石です。しかも自らが命の危険にさらされているというあの状況下でですよ。すごい。
そしてリードの言うことを信じ真っすぐ地下へ向かい、救出するモーガンとホッチもかっこいい。
だからこそ気になるのは、今回エルにつきっきりだったギデオンですよね。
なんだかギデオンらしくないというか...
やはり過去のトラウマが呼び起されてしまったんでしょうか。
この先きちんと仕事と向き合えるのか、少し心配です。
格言
心の傷は体の傷と同じだ。癒そうと必死に治療する。それでも傷跡は残る。(ラ・ロシュフコー)
The defects and faults of the mind are like wounds in the body. After all imaginable care has been taken to heal them up, still there will be a scar left behind. (La Rochefoucauld)
時が傷を癒すと言うが私はそうは思わない。傷は残る。時がたてば新しい組織に覆われ痛みも和らぐが傷は消えない。(ローズ・ケネディ)
It has been said that time heals all wounds. I do not agree. The wounds remain. In time, the mind, protecting its sanity, covers them with scar tissue, and the pain lessens, but it is never gone. (Rose Kennedy)
最後に
今回エルは手術を受けているのみでしたが、その際亡くなってしまった父親と飛行機で会話する、という妄想の世界が描かれていたのがとてもいい演出でしたね!
お父さんに構ってもらえなくて、大嫌いと言ったのが最後になってしまったことをずっと後悔していたんですね。
そんなお父さんに大好きと言えたことで、最初はお父さんの元に行きたいと生を諦めていたエルが戻る決心ができた、というのが泣けていますね。
お父さんがああしろと言うのではなく、エルが決めたことを全て肯定してくれるのがいいです。
大好き、と言うシーンでエルが8歳のエルになるのたまりませんね。
エル、幸せに生きて、めいいっぱい生きて、生きて生き抜いて、そして楽しい人生を終えてお父さんとまた会えますように。
エルと言えば、シーズン2のビジュアルにエルが映っていないのは何でですか...?
ガルシア追加されてるじゃーん!!と喜んだのもつかの間、エルがいないことに気づいた私はショックで情緒不安定ですよ。
エル、いなくならないよね...?
そして今回のエピソードで他にもいい演出だったのは、事件解決後に言葉なくそれぞれの行動が描かれていたことですよね。
ガルシアとモーガンが地べたに座って仲良くパソコン直しているのが微笑ましすぎてにっこりしちゃいました。
今回、ガルシアは自分の責任でたくさんの情報が出てしまって、しかもエルが重体で、終始元気がなかったんですよね。だからずっと見ているのがつらくて。
だからこそ最後にモーガンとニコニコで作業しているのが見えてほっとしました。
そんなモーガンとガルシアでほっこりした後、ホッチのシーンでもう感動しちゃって感情が忙しかったです。
ホッチ、一人でエルの部屋の血文字を雑巾で消してるんですよ...
自分だって家族の元に帰ってほっとしたいでしょうに。エルが戻ってきたとき、不快な思いをしないように、少しでも事件のことを思い出さずに済むように、綺麗にしてあげるんですよ。
しかも誰にも言わず1人で。どれだけできた上司なんですか...こんなの惚れるわ...
というわけで、シーズン2第1話の感想でしたが、まあ長い文章になってしまいました😂
だってとても濃密なエピソードだったんですもん~
シーズン2になり、むしろ気になる点が増えているクリミナル・マインド。今後のエピソードが楽しみです。
遅筆で申し訳ないですが、今後もお付き合いいただけると嬉しいです!
では、お読みくださりありがとうございました!