なんと!
森見登美彦さんの小説「四畳半タイムマシンブルース」がこの夏アニメに、そして映画になることになりました~!!!
嬉しい~!またあの早口なナレーションに会える~!
ということで、今回は「四畳半タイムマシンブルース」の前作である、森見登美彦さんが書いた小説、「四畳半神話大系」の感想を書きたいと思います。
小説好きな知人に森見登美彦さんを勧められ、「夜は短し歩けよ乙女」を読み始めて一度断念し(言葉遣いが少し難しくて癖があるので...)、しばらく時間をおいてから再度読んでみたらめちゃくちゃ面白くて、他の本も読んでみたい!!となりまして。
その知人が「夜は短し歩けよ乙女」と一緒に勧めてくれたなぁと思い出し「四畳半神話大系」を読んだところ、いやめっちゃくちゃ面白いな!?となった次第です。
森見登美彦さんの中で好きな本を一冊挙げるなら、という質問には恐らくこのどちらかを答える人が多いでしょう。
そして私は「四畳半神話大系」派です。ちなみにその知人も私と同じく「四畳半神話大系」派らしく、感想を伝えたらとっても話が盛り上がったというのはまた別の話。
ちなみに、私は「恋文の技術」も大好きなのですが、これはいつか別の機会に。
「四畳半タイムマシンブルース」の公開を記念して、現在ノイタミナで「四畳半神話大系」のアニメが再放送中です。アニメも「私」の早口が癖になって面白いのでぜひ。
過去に一度、「私」のナレーションのスピードで読もうとして早々に諦めたことがあります。笑
では、以下極力ネタバレなしであらすじと感想を書きたいと思います。
あらすじ
この本の主人公「私」は、当時ぴかぴかの大学一回生。京大生です。
大学の新入生と言えば。そうです、あの異常なまでに気合の入った新入生歓迎会、略して新歓。
「私」も個人の情報処理能力をはるかに凌駕するビラを手に抱え、途方に暮れてしまいます。
その中でも「私」が心惹かれたのは映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関<福猫飯店>。
薔薇色のキャンパスライフを、黒髪の乙女を求めて「私」が入ることに決めたサークルは...?
「私」はとあるサークルに決めてキャンパスライフを送るのですが、大学三回生になった頃、ある事件が起きてしまい、「こんなはずじゃなかった」と思うのです。
その過程が阿呆でばかばかしくて読んでるこっちは面白くてたまらないですが。笑
そして、薔薇色のキャンパスライフを送れなかったのは、悪友の小津と出会ってしまったこと、そして一回生のあの時選ぶサークルを間違えたことが原因だと思うのです。
あの時選択を間違えなければ、もっと別の2年間を送っていたはずだと。
と、この結論を導き出したところで話に区切りがつき、なんと次は再び「私」が大学一回生でどのサークルに入るか迷うところから話が始まるのです。
そして最初とは異なる選択をした「私」のキャンパスライフは...
ということがパラレル的に繰り返され、ただの阿呆な京大生の物語に笑っているうちに、我々読者は何か大切なことに気が付くのです。
最後、タイトルにもなっている「四畳半」が見事回収され気持ちいいまででもあります。
そして感想(少々ネタバレあり)
もちろん、ただの阿呆な小説ではないというところがこの本の素晴らしさではありますが、この本がこんなにも面白くて愛されるのは、そして何度も読みたくなるのはその阿呆なキャンパスライフの過程こそが面白いからです。
自らを「恋ノ邪魔者」と称して鴨川デルタで等間隔に座っているカップルめがけて花火を打ち込んだり、自転車にこやか整理軍となって放置自転車を裏で売りさばいたり、とある人物の愛でるラブドールを盗んだり、幻の亀の子束子を探し求めて歩いたり...
そしてなんと言っても悪友小津との阿呆なやりとりがたまらなく面白い。
この小津は、すれ違った人10人中8人が妖怪と見間違え、残り2人は妖怪であると「私」に言われるほどの風貌をしており、相当に癖の強い人物。
だからこそ面白い。
「私」は小津のせいで薔薇色のキャンパスライフを逃したのだと言いますが、小津は、あなたと私は黒い運命の糸でつながっているのだから、全力を尽くしてあなたを駄目にしますと言ってのける男。
この小津が面白いんですよね~~!
「私」が街で見かけた小津の事を語るある一文が大好きなので引用すると、
不摂生をしているらしく、月の裏側から来た人間のような顔をしている。他人の不幸を乞い願うような不吉な笑みを浮かべていて、妖怪ぬらりひょんと言うべきであろう。まるでもう小津である。小津と瓜二つである。むしろ、小津そのものである。小津本人である。
これをあのアニメの早口でまくしたてるのが最高で最高で。
小津以外にも魅力的なキャラがいっぱい。樋口師匠は茄子のような顔をしており、留年しまくっているためなんと大学八回生。
そんな樋口師匠と因縁(?)の中なのがみんなの人気者城ケ崎氏。
その2人と仲がいい歯科衛生士の羽貫さんに、黒髪乙女の明石さんという女性陣も。
みんなそれぞれ個性が強くてめちゃくちゃ面白いです。
おっと、相島先輩を忘れていた。笑
そして、この本の魅力は、というか森見登美彦さんの魅力は、面白い表現の仕方をするところです。
文通をしている「私」に向かって小津が「この桃色筆まめ野郎」というのですが、こういう1つひとつの言葉のチョイスが好きです。
あとはカステラを1人で食べるのは孤独の極みとか、大学生にとってはまだ夜と言っても過言ではない朝の7時とか、学問的退廃とか...
また、描写を挙げるとすれば、例えば占い師を見た「私」は、
やがて相手もこちらに気づいたらしい。夕闇の奥から目を輝かせて私を見た。彼女が発散する妖気に、私はとらえられた。その得体の知れない妖気には説得力があった。私は論理的に考えた。これだけの妖気を無料で垂れ流している人物の占いが当たらないわけがない、と。
と思うわけですが、占い師が妖気を垂れ流しているという発想がまず面白いですし、妖気を発散するという言葉のチョイスも好きです。
そして極めつけは無料で垂れ流しているのだから当たるはずだと考えることは論理的だということ。どこが論理的なんだ😂
その表現の仕方と相まって、常人には思いつかないような発想力も素晴らしい。
樋口師匠の着物を桃色に染め上げるとか、先ほども言いましたが放置自転車を回収して売りさばく組織がいるとか、猫から出汁をとったと言われる真偽不明の猫ラーメンとか、あんこがはいった闇鍋とか、誰が思いつくのですか。
あんまり例を挙げすぎるとネタバレになってしまうのでここらでやめておきますが、本当に面白いのです。
あ、あと、「私」の下半身をジョニーとして擬人化したのは天才としか言えない。
最後に
森見登美彦さん自身が京大生だったということもあり、街の描写がリアルなのもこの本の魅力。
いつか聖地巡礼に出かけたいなぁと思っております。
アニメからでもよし、もちろん本からならなおよしな「四畳半神話大系」をぜひ!
そして見事森見沼にハマった方は、ぜひ続編の「四畳半タイムマシンブルース」を、そしてその他森見作品へと足を踏み入れてみてください。
「四畳半タイムマシンブルース」は、今作よりも糖度が若干高めでそれもまたいいですよ~!
ぜひ、「四畳半タイムマシンブルース」の表紙にも注目してみてください。
原作↓
アニメ↓
「四畳半タイムマシンブルース」の原作↓
の映画↓
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では、お読みくださりありがとうございました!