たーこいずの宝箱

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劇場版名探偵コナン「隻眼の残像」感想

2025/4/18に公開された劇場版名探偵コナン第28弾、「隻眼の残像」

なんと長野県警がメインで敢ちゃんが隻眼となった雪崩を取り上げるとのこと。さらには、やっっっと小五郎さんが大活躍!もうティザーを見た時からめちゃくちゃ期待値高まってました。

 

では、以下ネタバレあり感想をつらつらと。パンフレットや各種雑誌のインタビュー、本誌、そして2025/5/3アニメ放送の後日譚のネタバレも含みますので、ご注意ください。

 

小五郎さんの魅力

「お前が撃ったことにしとけよ」、めっっちゃ痺れましたね~~~!

コナンに雪崩の際発砲したのは小五郎ではないかと指摘されてもなお誤魔化すところがめちゃくちゃ小五郎さんって感じ。ひけらかさないんですよ。

普段は自分のこと名探偵って言って(自分が解いたわけでもないのに)自慢げに話をして回ってますし、人気でちゃって調子に乗ってるところも。

けれど、本当に自分の手柄のときって全然言わないんですよね。14番目の標的で英理さんの足を撃った本当の理由を言わなかったり、拳銃が警察でもトップクラスにうまかったことも柔道が部内一だったことも、一切自らは言わない。し、明かされることにちょっと恥ずかしさとか照れみたいなのも感じてるんだろうなって。

 

映画の冒頭で、テレビのリモコンがなくなった描写が挿入されることで、またゼロの執行人のような事件が起きる示唆かなって深読みしてしまったんですけど、そんなことはなくて。

むしろ、(自分が失くしたとはいえ)見つけたことをあえて自分から言わない、ひけらかさない小五郎さんの人柄を描くために挿入したシーンだったのか、と。リモコンがなくなるというストーリーがなくても、普通に食事しているBGM的に司法取引のニュースは流せるので、リモコンがなくなる必要は全くなくて。そう思うと、小五郎さんってこういう人だよ、今回の事件の銃に限った話ではないよっていうメッセージのために挿入されたのかなと。ありがたすぎる。

 

おっちゃんのかっこよさってこういうところだよね~~!と思っていたら、インタビューで先生もそうおっしゃっていてとても嬉しくなりました。

 

それに、そもそも最後の手段として自分が撃つことを選ぶのがかっこいいんですよ。

自分の腕前に絶対の自信を持っていることの表れだし、敢ちゃんや風見を全く信用していないから自分が撃つってわけでもない。2人に任せて、でも難しくて、時間的制約があるから最終的に自分が撃つことを選ぶんです。かっこよすぎだろ。大人なかっこよさ。

 

また、小五郎さんってコナンをちゃんと子ども扱いしてくれる数少ない大人で、ちゃんとコナンの保護者であるところが素晴らしい魅力だと思っていて。

「遊びじゃねぇんだ」がかっこいいセリフですけど、そのかっこよさって小五郎が真剣だからだけではなく、子どもを事件に関わらせないというところにもあると思うんです。

普段から事件現場でコナンがちょろちょろしているとげんこつして引っ張り出すところがあって、いくらコナンが大人びた頭の切れる子どもであっても、あくまで小五郎にとっては預かっている子どもなんですよね。

今回の映画ですごくいいなと思ったのが、雪崩のシーンで真っ先に小五郎がコナンを抱えて走るところと、ラスト自ら発砲した後、空に舞ってるコナンをキャッチしたところ。

雪崩のシーンは、あれコナン以外みんな警察なんですよね。だから守るべき対象ってコナンしかいないわけで。(警察はむしろ民間人を守るべき立場であって守られる立場ではない。)

その点、高木や佐藤よりも先にコナンを助けるところがはちゃめちゃに小五郎さんらしさに溢れていました。しかも、避難できていない(ように見えた)敢ちゃんをコナンは助けたい、けれど小五郎さんはコナンを真っ先に助けようとするという対比もいいなぁと。もちろん小五郎さんなら困っている人いたら助けそうな気もするんですけど、全員を助けようとする新一と対比することで、あくまで元警察だった小五郎のふるまいが浮き彫りになっている気がして。この部分は映画のエンドロール後にも効いてきてますよね。(その話はまた後で。)

 

隠れ公安としてあんなに大事な仕事を任されていたワニとかつてペアで競っていた小五郎さん、やっぱり仕事できる人だったんだなぁとしみじみしました。過去に目暮警部から、小五郎のせいで迷宮入りした事件がたくさんあると言われていたことからも、推理力はいまひとつなところがあるとは思うんですけど、警察って組織ですから、探偵みたいに自分ひとりで解決する必要はないので。小五郎さんはあくまで警察向きだったんだなと。

あぁもう英理さんにこのかっこよさを見ていてほしかった~~

 

シンプルに青山原画かっこよすぎましたね。「見ていたかよ、ワニ」まじでよかった。

拳銃持ってくから今の腕前を見せろという生前のワニの冗談を踏まえたあのセリフは、本当に仲良くないと出てこないですし。

 

犯人の犯した罪

では話の流れでそのままワニの話を。

一回目見たときにはワニのPCに貼られた付箋をすべて確認することができなかったのですが、指輪とレストランという文字は見えたので、ん?もしかして?とは思っていて。

そして先日放送された映画の後日譚という位置づけのアニオリを見て、納得し、さらに悲しくなりました。

 

今回の映画の犯人、林は婚約していた恋人が自殺したきっかけである強盗犯の御厨と鷲頭を恨み、司法取引により刑が軽くなったことを恨み、更なる司法取引制度の推進を止めるために衛星放送の違法な受信そして殺人事件を起こしました。

衛星放送を受信して脅して訴えるところまでは、司法取引制度に対する疑問を呈したかったということでまぁ説明はつくと思うんですけど、見られた敢ちゃんを撃ち、その事実を調べ始めたワニを殺し、さらに敢ちゃんの記憶が戻る前に殺そうとする。敢ちゃんを殺すため他の人たちを巻き込んでまで。

これってもう自分が捕まらないようにという保身なんですよね。

恋人は犯罪により死んだからこそ今回の事件を起こしたのに、自分も同じことをしているのって皮肉すぎて。

 

逆に鷲頭の方が人を救っているんですよ。敢ちゃんが過去の雪崩のときも今回も生きているのは鷲頭のおかげですからね。

そして船久保も自分が鷲頭を殺すと恨んでいましたけど、最後には受け入れようと葛藤していました。

この辺の対比がとても残酷だなと。

人が大切なものを失ったとき、どうするか?メッセージを感じましたね。

 

また、恨みにより事件を起こした犯人の林に対し、佐藤と高木が警察の職務倫理を暗唱するシーンは痺れましたねえ~~

佐藤もかつては警察という身分でありながら、父を殺されたという恨みから道を外しかけ、高木に警察の職務倫理を思い出させられたことで踏みとどまった過去があります。

そんな2人がこのセリフを言うなんて、素晴らしすぎる。

 

敢ちゃんと由衣さんの恋路、その2人を見守る高明

なんといっても今作の大きなラブコメを担当したこの2人。

車中のシーンは大人だからこその雰囲気でよかったですねぇ~林の発砲により敢ちゃんの答えが聞けずじまいだったのが心底残念。タイミング悪すぎるよ林。

 

由衣さんもかつて敢ちゃんが死んだと思い込み、だったら敢ちゃんの意思を継いで私が甲斐さんの事件を解決しなければと決意し、好きでもない男の嫁になりました。

そんな過去を持つ由衣さんに対して「お前ならどうする」と林に訴えかけられた時の由衣さんが苦しくて。

でも「来い!」と敢ちゃんが呼びかけるだけで、由衣さんは躊躇なく動くことができるんです。あのシーンは本当に痺れました。

普段上原呼びなのに、あの時は由衣呼びだったのも最高でしたね。しかも先生から恋愛よりの時は由衣呼びになると公言いただいてますからね。何回でもおかわりしたい。

それと、犯人と対峙するシーンの由衣さん、髪の毛が風になびいてとっても美しくて見とれてました。緊迫したシーンなのに「美しい...」と思ってました。すみません。笑

 

エンドロール後のラブコメまじで最高でしたね。

「ただの同僚じゃなかったとしたら?」と言う由衣に対し、「は?」とめっちゃ素で答える敢ちゃん、まじかよ!ってつっこみたくなりました。

あなたまじで由衣さんの気持ちに1ミリも気づいてなかったんかい!てか考えてすらいなかったんかい!青山ボーイズすぎる。あの鈍感な平次を余裕で超えるんじゃないの。

まずいコーヒーの段階で気づいてるんだろうな、行方不明期に結婚していたこともあってゆっくりと進展ということかなと思っていましたけど、まさか始まってすらいなかったとは。

 

敢ちゃんが死んだと分かった時の由衣さんの演技がオーバーすぎると敢ちゃんは言っていましたけど、決してオーバーじゃないし演技でもないからねもはや。本当にあなた死んだと思った時があったんだからね。もっと自覚して反省してください。

 

「あなたも死ぬことがあるのかと」という感想がまず最初にくる高明もさすが高明で最高ですね。

そして2人のやりとりを聞いた後の「フッ...」がもう最高で最高で。これがあるかないかでだいぶ変わりますからね。今作トップクラスに好き。

この反応ひとつで、これまでずっと敢ちゃんと由衣さんはこんな感じで、それを高明はずっと見守って来たんだなとわかっちゃうんですよ。こういう説明なく余韻を持たせ、でも想像が容易につく描写大好きです。

2人に呆れつつも口は出さずに見守るのがとっても高明らしい。

このやりとりを「フッ...」で流せるの高明しかいないよ。伊達に2人の幼馴染してないわ。これからも挟まれ続けて「フッ...」てしてるんだろうな。おもしろ。

このシーンは脚本家櫻井さんが書いたもので、先生は特に手直ししなかったとのこと。全体的に思いましたけど、やっぱり櫻井さんも作品を重ねるごとに青山ラブコメを理解しつつあるのでは...?元々苦手な脚本家さんだったので成長を感じられて嬉しいです。

 

高明のかっこいいところ、あの見た目と故事成語大好きな感じから冷静沈着タイプかと思いきや、結構アクティブでむしろすぐ行動しちゃう危ういタイプなのめっちゃいいですよね。だって敢ちゃんは生きているはずと一人だけ信じてやりすぎた捜査して所轄に飛ばされてますからね。なんなら3人の中で一番やばめかも。

「挟み撃ちといきましょう」かっこよかった~~

敢ちゃんの危機を助けたことで自分が滝つぼに落ちちゃうのはハラハラしたけど、とても高明らしさも感じた。妄想世界のヒロと会ってすぐに現実ではないと察し、すぐに現実へと戻る選択をするところも高明の強さを感じる。

 

そしてコナンの意図をすぐに察し、オープンカーにしてアシストするのも聡明すぎて魅力にあふれてたな~

正直蘭がヒントを叫ばなくてもコナンならすぐに意図を理解しそうではあったけど、それはそれとして新蘭はありがたく受け取ります。し、高明の故事成語を解説する蘭ちゃん好きなので嬉しい。

蘭登場後は自ら解説せず蘭に任せる高明も面白くてよかった。

 

少年探偵団(ネガティブな感想もあるので読みたくない人は飛ばしてください)

元太と光彦がお互いに助け合うところがめっちゃくちゃよかった~~!

一時期お荷物扱いされていた探偵団が活躍するのがすごく嬉しいんですよね。

外へ飛び出すのも動物を守りたい、ルール違反はだめという子どもたちらしさがあっていいですし、犯人に噛み付く元太も機転を利かせて写真を撮ったり警察に通報しているフリをしたりする光彦もそれぞれの良さが出ていてよかった。

蘭が現れたときの安心感半端なかったですね!

蘭も子どもたちを守るための戦いなので自然でよかったですし、蘭が犯人と対峙したことでライフルのカバーの中身がないことにも気づけたのがいい情報の出し方でしたし、対峙の必要性が生まれていてよかったです。

そしてその蘭を子どもたちが守り、無事を確認して「怖かったね」と抱き締めるのがもう蘭ちゃんの良さ全開でした。

 

科学者の灰原が星を描くレーザーで活躍するというのも、灰原である必要性が生まれていて割と自然でした。これまで便利屋さんと化していた灰原で、科学者である必要性あるか?別に博士で良くない?というシーン盛りだくさんだったので。

しかしやっぱりなぜ灰原にだけ捜査の進捗状況を電話して伝える必要があるのか?なぜ灰原はコナンにだけ紅茶を渡したのか?2人して同じタイミングでマフラー外す描写をあえて入れる理由は?例年に比べればマイルドになっていたとはいえ、やっぱりコナンと灰原の相棒描写は許せない。なんでそんな設定入れるんだよ原作よめ。

 

博士のダジャレクイズも例年より自然な挿入でしたね。

年によっては無理やり感あったり、シンキングタイムなさすぎて尺とられるの嫌なんだろうなと事情が透け透けだったりするので。

それで思わず灰原が正解を答えてしまいその後の流れになるのも自然でしたし、元太に譲ろうとするのを光彦が過剰に止めるのもとってもよかった。

 

ミステリー部分(ネガティブな感想なので読みたくない人は飛ばしてください)

事件メインで良かった分、細切れであっちこっちに飛ぶので、今何を考えたらいいのか初見の時はいまいちわかりづらかったですね。

あとやっぱり推理ショーの段階で新しい事実が明らかになるのはタブーだと思います。

まあ正直敢ちゃんが死んだ(ことになった)時点で「あぁ内部犯なんだな、だますために嘘つくんだな」とわかってしまった部分はある。

 

隠れ公安とか司法取引とか櫻井さん好きそうな要素だな~~と思いましたね。

別に嫌いじゃないけどこればっかりは飽きるなぁ。私はやっぱり「私の美学に反する!」タイプの犯人が好き。(単なる私の好み)

けれど、インタビューを見ていると「安室を出してほしい」という要望があって、公安が絡む事件を考えたようなので、全部が櫻井さんの好みってわけでもないのかも。

 

推理ショーではなくて「現場検証」ってワードをチョイスした理由がいまいちわからなかったんですけど、なんだったんだろう??

あと、新一からのメールでわかって小五郎がまったく推理していないみたいに見える描写もなんとかならなかったのかな~~ワニ呼びの反応に気づいたのは小五郎なので。

 

蘭とコナン

蘭ちゃんがコナンのマフラーをリボン結びするのめっちゃよかったですよね。

監督の重原さんが、いつもの蝶ネクタイの代わりにと提案してくれたそう。グッジョブすぎる!インタビュー読んでると、櫻井さんの苦手度が今年は薄まっていたのは、監督さんの功績なのかもと。だとしたら今後も作品に携わってほしい!!

 

サッカーのチケットを新一のためにとって、でも行けないからコナンを誘うのも、コナンが蘭とのデートとして意識しているのも、小五郎がデートと突っ込むのも、いい挿入でしたね~~蘭とのサッカー観戦なら長野に一緒に行けなくても仕方ない、と探偵団が諦めるのもいいですよね。

蘭がコナンの演技に協力するのも新鮮でよかった~!またかよ、という元太の反応も、そういうことかと博士が呆れるのもめっちゃ丁寧でよかった。

小五郎のためだから蘭が協力するのも自然ですしね。

 

そして余ってしまったサッカー観戦のチケットを園子に渡すというのもいい挿入でした!蘭が恋の策士しているのめっちゃいい。園子可愛かった~~

 

新一のやり方

公安のやり方として、司法取引に疑問を呈したかった林に司法取引を持ち掛ける降谷。

そんな公安とも、警察とも違うスタンスを新一は歩んでいるということが明確に言及されたのもよかったですね。

新一が由衣さんにだけ敢ちゃんの死の真相を伝えていたというのがとても彼らしい。新一はそういうところには絶対気を遣うタイプだし(じれったいカップルならなおさら)、由衣さんは一度経験しちゃってるからね。

新一は警察ではなくて探偵で、警察的な考え方をしないというのがこれまでも描かれてきたし、それを改めて言葉にしてもらえたのはすごくよかった。

それを高明が理解しているというのもいいなぁ。

 

こうなると、公安である降谷がヒロの遺品をこっそりと(伊達さんを経由して)高明に渡したのが、公安のやり方から外れた降谷自身の意思であることがより浮き彫りになって胸にくるものがありますね。バレたら結構問題になるのでは...

 

最後に

全体としていい映画だったんではないでしょうか!各キャラの魅力にあふれていて、アクションもミステリーもそして名探偵コナンの醍醐味ラブコメも、バランスよく描かれていたと思います。

冒頭のスケボーのチェイスも、クライマックスのカーチェイスも見ごたえがありましたし、何よりおっちゃんの射撃がかっこよすぎた。

 

来年の予告もよかったですね~!なんと千速さんと重悟がスクリーンで!ここ数年の劇場版は攻めてて面白いです。

この2人はまた他のカップルとは違った構図なので今後の展開が楽しみですし、避けて通れないのがやはり弟の萩原と千速に片想いしていた松田だと思うので、ここら辺が絡んでくるのかどうかもポイントになりそう。

蘭ちゃん大好きな私としては、「風の女神様」と表現した蘭ちゃん自身がどう千速と関わるのかもすごく楽しみ。

 

では、お読みくださりありがとうございました!