海外ドラマ「SHELOCK/シャーロック」シーズン2第2話「バスカヴィルの犬(ハウンド)(THe Hounds of Baskerville)」の感想です。
題名からお察し、あの長編で名作の「バスカヴィル家の犬」がモチーフ。名字ではなく地名となった"バスカヴィル"ですが、今回も小ネタ満載で面白かった~!
謎の魔犬の正体とは?
では、以下ネタバレあり感想です。
ホームズの興味を引く依頼
またもや暇なホームズは豚を殺して血まみれで登場。なんてインパクトのある登場の仕方なの😂
どんなに気張っても豚を一突きでは刺し通せないことを試していた「黒ピーター」のオマージュですね。しかし、ドラマ版の方が暇潰しというか投げやり感が強い分変人っぷりが増し増しですね。笑
暇すぎてやめたはずの煙草を探して家の中をぐっちゃぐちゃにし、しまいにはハドソンさんの新しい恋人には隠し妻がいるとわざわざ言ってしまう荒れっぷり。
そこへ来た依頼人に煙草を勧め、その副流煙を思いっきり吸い込むという変人ぶり。いやあ本当に変人の演技が上手いよなぁ。
その依頼人ヘンリーが持ってきたのは20年前に父親を殺した巨大な犬(ハウンド)を作っているバスカヴィルにある軍事施設の謎を解き明かしてほしいという事件。
昨夜、ヘンリーの父親が殺された窪地で巨大な犬の足跡を見つけたというのです。
途中までは全く興味のなさそうだったホームズでしたが、「ハウンド」という言葉に反応しやる気満々に。
しかし、自分はネットで来た「光るウサギのブルーベルが逃げたから探してほしい」という依頼で忙しいから、優秀な助手を送ると言うのです。
ロンドンでやることがあるからとワトソンだけをやって、手紙で報告させていた原作「バスカヴィル家の犬」と同じ展開。
かと思いきやしっかりホームズも一緒にバスカヴィルへ行っておりました。笑
"光る"ウサギというのは、まさに「バスカヴィル家の犬」の魔犬が光っていたのからとったのでしょう。
それとこれは考えすぎでしょうが、ウサギが消えたというのは競馬が消えた「白銀号事件」をなんとなく思わせますね。
それにしても、「稚拙な情事はジョンに任せよう」「理解力はないがデータ収集は得意な助手を送る」だなんて、ホームズも褒めてるんだかけなしてるんだか😂
施設への潜入
バスカヴィルにやって来たホームズとワトソン。
まずは情報を仕入れるところからですが、魔犬が出たとして観光客を煽る人物から情報を聞き出すため、ワトソンと賭けをしているように見せ、巧みに話をさせるホームズ。
この手法は「青いガーネット」の引用でしょうね。光るウサギの名前をブルーベルという名前にしたのも、ここからの連想ゲームかな~なんて思っちゃったり。
そして問題の軍の研究施設に入るわけですが、もちろん許可がなければ入れるはずがなく。
どうするのかと思いきや、なんと昔盗んでおいたマイクロフトの許可証を使うのです。
兄は政府そのもの、とその権力を惜しみなく使うホームズ。
マイクロフト本人ではないとバレるまでの猶予は20分、ということでさっさと目的を果たしたい2人。しかし、もちろん疑われます。
ここで活躍するのは軍の経験があるワトソン。堂々と命令するワトソン、様になってます。かっこい~!原作よりもワトソンがちょっとカッコよく見える。笑
話をするうちに、ステープルトン博士という人物がブルーベルの依頼をしてきた母親であることに気づくホームズ。なんとここでつながるのか!この展開は面白いですね。
ワトソンも、魔犬の秘密を探りに来たはずだったのにホームズがブルーベルの話なんかしだすから、ウサギを調べにきたのか?ときょとんとしてましたね。可愛い。
ウサギの脱走については、ステープルトン博士が研究で遺伝子操作し、光るようになったウサギが誤って自宅に行ってしまい、娘に隠して殺したとのこと。おそろし~
マイクロフトの許可証で中に入ってから23分後、バレそうになった2人は慌てて外へ。
いよいよダメか、という時に助けてくれたのは、ちょっと怪しい雰囲気のあったフランクランド博士。
フランクランド博士は、ヘンリーの父親と知り合いで、ヘンリーのことも可愛がっていたのだとか。
ブログでホームズのことを知っていたため、助け舟を出しホームズを救います。そして「いつでも携帯に電話して」と電話番号までくれるのです。噂話が好きなおせっかいさんって感じ。
信じられなくても真実
生息地を確かめる必要があるとして、夜に窪地へ出かけるホームズ、ワトソン、そしてヘンリー。
そこでワトソンは「UMQRA」という謎のモールス信号を見つけます。それを伝えようとホームズを探していた時、獣と思われる何かの鳴き声を聞くのです。
同じころ、ホームズとヘンリーは目が赤い巨大な魔犬を見てしまうのです。
見たことに恐れながらも、ホームズも見たはずだと興奮するヘンリー。
一方、ホームズは何も見ていないと主張。
しかし、部屋に戻った後、「本当は見た」と言い、得体の知れないものに対する恐れを明らかにします。
そんなことはあり得ない、ホームズに限って、と信じようとしないワトソンに対し、「不可能なものを除外していって、残ったものがたとえ信じがたくとも真実」というあの有名なセリフを言います。
心の底からホームズを心配してるのに、ワトソンの心配する気持ちを全く考えないホームズ。しまいには、「僕には友達なんていない」と言ってしまうのです。
これにかちーんときたワトソン。そりゃそうだ...
「ほっといてくれ」とホームズに言われたワトソンは、1人でモールス信号が発信されている丘の上へ調べに行くことに。
辿りついた先は...なんと車の中でいちゃいちゃしている(?)男女。車のランプがなぜか消えない、というトラブルだったのです。
原作でも、ろうそくによる合図が重大な意味を持つとワトソンが勘違いしていましたよね~逆にドラマでは事件に関わるのかも、と思いきややっぱり全く関係ありませんでした😂これやはり原作ファンはニヤニヤ必至です。
翌日、気まずいながらもホームズはワトソンに謝ろうとしますが、話しているそばから「光り輝かないが光の伝導体としては素晴らしい」「凡人だが天才を刺激する」と到底誉め言葉とは思えない発言をしちゃうし。笑
あくまでも素直なホームズに対し、怒っていたことがばからしいと怒りを通り越すワトソン、大人だよな~ワトソンじゃなきゃとっくに破綻してるよ。
そんなワトソンはベジタリアン向けの宿泊施設なのにもかかわらず、肉の納品書があることに気づき、こっそりすくねていました。
その納品書をもとに、休暇でホームズに会いに来ていたレストレードに(仲良しかよ)尋問をしてもらいます。
結果判明したのは、魔犬ブームを盛り上げるために犬を飼っていたが、凶暴で手に負えなくなっていたという事実。
この事実を見つけた凡人ワトソンに刺激を受けた天才ホームズは、ただの犬を見て魔犬と思い込んだ、つまりヘンリー家でワトソンのみ口にしていなかった砂糖に毒が盛られていて妄想を見たのだと推測し、その砂糖をワトソンに飲ませます。
そして今度こそ正式にマイクロフトに許可をとって行った施設でワトソンを閉じ込め、薬の効果を試すのです。
結果、ワトソンも薬の影響により妄想上の魔犬を見るのですが、砂糖を調べても毒物は検出されません。がっかりするホームズ。
原作「悪魔の足」でも実際に自分とワトソンで薬を試すシーンがありますが、あくまで原作はワトソンに説明してから実験をスタートします。
一方、ドラマはだまし討ち...ホームズの無慈悲さが増し増しになってる😂
心底怖がっているワトソンをモニター越しに見ながら電話するホームズといったら。笑
しかし、ヘンリーが思い出す「リバティ」「イン」、そして「ハウンド」という言葉から、インディアナ州リバティのハウンド計画を思い出すのです。
そして唯一アクセス権限のあるパソコンのパスワードも推理によりつきとめ、調べた結果、人に暗示をかける化学兵器の開発をしていたものの、被験者は正気を失い凶行に走ったため、計画は中止になったこと、ハウンドとは研究者らの頭文字をとってそう呼ばれていたものが明らかに。
つまり、その研究者のうちの1人が、こっそり研究を続けていたのです。
この、3単語から導き出すときの変人っぷりが最高でしたね~!精神の宮殿から探し出している感じがよく分かりましたし、隣で精神の宮殿について解説してるワトソンが健気というか。笑
犯人との対峙
出会った研究者の中にアメリカなまりの人がいたことを思い出し、その人が犯人であると特定するホームズ。
一方、自分の妄想によりついに自宅で発砲してしまったヘンリーは、事態を重く受け止め、窪地で自殺しようとします。
自殺を止めるべくホームズ、ワトソン、そして休暇で来ていたレストレードを再度呼び戻し、窪地へと急ぐ一行。
レストレードも来るというのが原作さながらでいいですよね。
自殺しようとするヘンリーを止めつつ、自分たちが見ていたのは妄想であること、その妄想を引き起こしていたのは窪地に埋められている薬であること、ヘンリーが父親の死の真相に気づきかけていたので、それを妨害しようとしていた人物がいたことをホームズが明かします。
そう、犯人とは、父親の知り合いでヘンリーの面倒も見ていたフランクランド博士。父親に研究のことを知られてしまったので殺したのですが、恐怖のあまりその際に赤い目のガスマスクをして、「ハウンド」と書かれたTシャツを着ていたことから、赤い目の魔犬(ハウンド)が襲ったのだと記憶を書き換えてしまったとのこと。
犯行に及ぶ姿が狂気じみているから、獣に見えたというのは痛烈な皮肉。
地面を踏むと地中の薬が霧状になって舞うというのが、原作の霧の中で魔犬が現れるシーンの再現のようでとても秀逸だと思いました。濃霧を霧状の薬に置き換えるなんて、天才です。
犯行がバレたフランクランド博士は一目散に逃げだしますが、地雷が埋まる土地に足を踏み入れてしまい、自滅してしまいました。
原作でも逃げた先の沼地で死んでいますので、同じようなルートを辿ったわけですね。
最後に
いやぁ遺伝子操作や人に暗示をかける化学兵器というのはすごく現代的で、でもしっかりと原作を踏襲していて面白かったですね~!
原作とは異なり、最初からしっかりホームズがバスカヴィルに一緒に行ったのも嬉しいポイント。もちろん、原作の「いたの!?」という驚きももちろん楽しいんですけれどね。
なんでもかんでもモリアーティに繋げなかったところも個人的には好きです。原作でモリアーティが出てきたなんて数回ですからね。
では、お読みくださりありがとうございました!