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海外ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」2-3「ライヘンバッハ・ヒーロー」感想

海外ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」シーズン2第3話「ライヘンバッハ・ヒーロー(The Reichenbach Fall)」の感想です。

 

ついにシーズン2も最終話。

ライヘンバッハ。そうです、あのライヘンバッハの滝の「最後の事件」が主となる今回のお話。え、もうそれやっちゃうの~!?

というか、英題はFallで"落ちる"と"滝"をかけてる粋な題名なのに、邦題になるとなぜこんなにもださくなってしまうのか...

 

では、以下ネタバレあり感想です。

 

"ヒーロー"になるホームズ

名画「ライヘンバッハの滝」を取り戻してカフスを、子どもの誘拐事件を解決してネクタイピンを、指名手配犯リコレッティを逮捕し鹿うち帽をもらうホームズ。

新聞をはじめとしたメディアでもヒーローとしてはやし立てられます。

リコレッティは、「マスグレーヴ家の儀式」で話に出てきた"蟹足のリコレッティとその憎むべき事件"からでしょうか。蟹足って、どんななん?

また「ブルース・パティントン設計書」でお礼としてエメラルドのネクタイピンをもらっていましたね。原作では部屋に飾っていたので内心喜んでいたと思うのですが、ドラマではいらないと言っていましたね~鹿うち帽なんて心底嫌そうだったし。笑

世間が被せたがるというのが、鹿うち帽をかぶっている描写が原作にはなく、挿絵でイメージがついたというエピソードにぴったりです。

 

という感じで順調に事件を解決し、世間でもヒーローとして浸透していったホームズ。

しかし、有名になったが故にモリアーティの罠にからめとられていくことに。

 

モリアーティとの最後の対決:序

とある日の11:00、ロンドン塔、イングランド銀行、ペントンビル刑務所に同時に不正アクセスしてみせたモリアーティ。

モリアーティ本人は、ショーケースに「シャーロックをゲット」というメッセージを書きつけてから壊すという手の入れよう。

そのままモリアーティは駆け付けたレストレードらに逮捕されます。

このシャーロックをゲット、というのが世界の犯罪者に向けたメッセージだったというのが面白い。

 

もちろん裁判にかけられるモリアーティ。しかし、陪審員の泊まるホテルのケーブルテレビにアクセスし、陪審員それぞれを脅迫することで無罪放免を勝ち取るのです。

一方ホームズは鑑定人として法廷に呼ばれるのですが、ワトソンの助言も無視してやはり知性をひけらかし、一時逮捕されてしまう始末😂

違う場面で「わかってるだろ?という顔をするのはやめてくれ、わからないんだから」とワトソンが怒っていましたが、本当に的確な指摘だなと。ホームズは知性をひけらかしてるつもりは全くなくて、他の人にわからないのが心底不思議で仕方ないんだろうなぁと。こんなこともわからないのか?と心から思っているからこそ、ああいう言い方になっちゃうんだろうなぁ。

そんなホームズは「モリアーティは人ではなく蜘蛛だ」「無数の犯罪の糸をすべて把握している」と評します。ここで「糸」という表現を使うのが「緋色の研究」のあの名言を思わせていいですね。

 

解放されてすぐにベーカー街221Bを訪ねるモリアーティはホームズと会話。

何も盗まなかったモリアーティの狙いは、どんな場所にも入れるコンピューターコードを手に入れたことを、ホームズにアシストしてもらいつつ全世界に自分を宣伝することだったと明かします。

そして、「借りは返す」と言い残すのです。自分が指南した犯罪をことごとく解決されて腹がたってたんかな...ここも「最後の事件」でホームズに忠告するモリアーティを思わせますね。

 

こうしてモリアーティはホームズに宣戦布告をしつつ消えていくわけですが、一方でワトソンはマイクロフトにまたも呼びつけられます。

カードが使えなくなり拉致られるという強引な方法でしたが、ワトソンはもやは全く焦らない余裕っぷり。笑

マイクロフトが呼びだした場所は、あのディオゲネス・クラブ

ギリシャ語通訳」で出てきたロンドンで最も風変りで、マイクロフトが毎日5時15分前から8時20分前までいる、社交嫌いの集まる談話できない場所。

原作を読んだときには、変な場所~と思っていましたが、こうやって映像を見るとなかなか面白い場所だなと思いましたね。誰にも話しかけられず、干渉もされないことが約束されている場所なら、有名人でもゆっくりくつろげそうですもん。

 

そこでマイクロフトから、ベーカー街に殺し屋4人が集まってきているから、ホームズを守ってほしいと頼まれます。本当にこの兄弟は...

文句言いつつなんだかんだ兄弟の間に立つワトソン、本当に大人なんだよなぁ。

 

モリアーティとの最後の対決:本

モリアーティが無罪となってから月日が経った頃、子どもの姉弟が寄宿舎から誘拐された事件を捜査することになったホームズ。

男の子が機転を利かせ、油を床にまいたことで、犯人の足跡が手掛かりとして残されていました。

また、同時期にベーカー街221Bに届けられていた封筒と同じ封蝋を発見。女の子の部屋の封筒には童話の絵本が入っており、ベーカー街に届けられた方にはパンくずが入っていました。

足跡に残された痕跡及び「ヘンゼルとグレーテル」の童話から、ホームズはアドルストンにあるお菓子の廃工場に監禁されていると特定。

 

寄宿舎から子どもがいなくなる、足跡(原作では自転車の轍なども含まれますが)などを手掛かりに事件を解決するという流れは「プライオリ学校」のオマージュでしょうか。

 

廃工場に行くと、まず見つかったのは大量のお菓子の包み紙。臭いをかぎ、舐めたホームズは水銀が包み紙に塗られていることに気づきます。

水銀が少し体内に入るくらいであれば問題ないが、大量に摂取すると命が危険。つまり、空腹であればあるほどお菓子をたくさん食べるので、子どもたちの命は危険にさらされるという狂気的な手口。

瀕死の男の子と傍で泣く女の子を救出した後、女の子から事情聴取をしようとするのですが、ホームズの顔を見た途端に泣き叫んでしまうのです。

 

つまり、ホームズの顔が犯人を思わせるということ。

足跡の手掛かりから場所を特定したことや、過去の事件をスムーズに解決してきたこととあわせ、レストレード以外の警察たちは、ホームズの自作自演ではないかと疑い始めるのです。

 

モリアーティとの最後の対決:結

一度疑い始めたら気になってしまうもので、レストレード本人は疑っていないものの、元々ホームズが嫌いなドノヴァンやアンダーソンの口添えの結果、警部正の命令でホームズを逮捕しなければいけない事態に。

開き直り、「君も疑っているんだろう」と言うホームズに対し、「こんな嫌な奴に化ける必要はない」と辛らつな皮肉を返すワトソン。いやフォローの仕方~!😂

けれど、警部正のむかつく一言に対して思わず殴ってしまうワトソンの人間味が、その信頼が本当にホームズを支えているよね。

 

そして仲良く2人で手錠をはめられた結果、2人で逃走することに。いや仲良しかよ。

「犯人は2人」でも殺人犯に間違えられて2人が追いかけられるシーンがありましたが、ドラマでは手錠までついているので滑稽ですねぇ。

 

その2人が逃げた先は、世論がホームズの自作自演という方向に傾くきっかけを作った記事を書いた新聞記者のキティ・ライリーの家。

ホームズに取材を断られたキティは、リッチ・ブルックという男が語ったことを記事にしたため、その男のことを聞きに行ったのです。

しかし、なんとキティの家にはモリアーティ本人が!!リッチ・ブルックは俳優で、ホームズに雇われてモリアーティを演じていたのだ、ホームズが怖いから助けてくれとキティに匿ってもらっていたのです。

リッチ・ブルックは嘘にマイクロフトから聞き出した事実を混ぜることで、それらしく信じさせていたのです。何やってんだよマイクロフト。ドラマ版マイクロフトはあまり優秀ではなさそう...笑

モリアーティが心底ホームズをおびえる演技がものすごく素晴らしくて、こりゃ騙されるわ...と思ってしまったのも事実。俳優さんがすごすぎる。

 

いよいよ追いつめられたホームズは、病院のモリ―に何やら頼みごとをします。

また、ワトソンがいらついて指を机にカツカツさせる様子を見て、モリアーティはコードをベーカー街221Bに隠したのではなく、2進法で自分に伝えていたのだと気づくホームズ。だからこそ、殺し屋はホームズが死ぬのを防いでいたのです。

 

コードの正体に気づいたホームズは、モリアーティを病院の屋上へ呼び出します。

その頃、ハドソン夫人が撃たれたという情報がワトソンの元に入り、様子を見に行こうと言うワトソンに対し、わざと冷たい態度をとって1人で帰らせます。

ハドソン夫人が撃たれたというのが嘘だと気づきつつ、ワトソンを安全な場所へ行かせるために行かせたというのは、「最後の事件」そのものですね。

 

そしていよいよ屋上で対峙。

退屈の中生き続けるという同じ問題を抱えるホームズとモリアーティ。たまたまホームズが天使の側で、モリアーティが悪魔の側。いい犯罪者にもなれると「犯人は2人」などでも言っていたとおり、ホームズは悪魔の側にもなりえたといういい描写です。

会話する中で、どこにでもアクセスできるコードなんてなく、ただ仲間がいて犯罪を成功させただけだと種明かしするモリアーティ。

さらには、ホームズが自殺することがワトソン、ハドソン夫人、レストレードの射殺を中止するコードだから自殺しろと言うのです。

 

一度は落ちるギリギリのところまで行くホームズですが、「僕は指令を出さない」というモリアーティの言葉から、モリアーティ自身も中止させることができることに気づきます。

そして射殺の合図である"握手"をモリアーティとするホームズ。これでしてやったり!と思いきや、モリアーティは持っていた銃を喉に突き刺し、そのまま拳銃自殺してしまうのです。

 

モリアーティが死んでしまい、中止コードは自分が自殺することでしか出せなくなったホームズ。

ちょうどその時、ハドソン夫人が撃たれたことが嘘だと気づき、引き返してきたワトソンを目にします。

そして、電話で「僕はペテン師だ」「書き置きの代わりだ」と言い、そのまま飛び降り自殺するのです。

ワトソンに書き置き(の代わりに電話)するというのも「最後の事件」のオマージュですね。

 

そして、ホームズの墓の前で悔しそうにするワトソンを見つめるホームズ、というところで終幕。もちろん、ホームズは生きていたという種明かしで終わるわけですね。

 

最後に

モリ―への頼み事というのが、自分が死んだように見せかける仕掛けを作り、検視もモリ―が引き受けることで本人が死んだという診断書を作らせたといったところでしょうか?

そして、握手すればモリアーティを自殺に追い込めるとわかったうえで自殺させ、事態を終結させるために自死を装った。こうすれば自分が直接モリアーティに手を下さずに済みますもんね。

世間が落ち着き、ホームズに興味を失った頃にワトソンの元へ戻って来るんでしょうか?いやぁ、ワトソンやレストレードの反応が楽しみだな~!

 

それにしても、まさか第2シーズンでモリアーティとの対決を終わらせるとは思いもよりませんでした。引っ張れるところまで引っ張るのかと。

原作ではワトソンが結婚することで別々に暮らすことになったり、モリアーティを失ってつまらなくなったホームズが隠居生活を送ったりもしますが、ドラマ版はどうなんでしょう?

 

では、お読みくださりありがとうございました!