たーこいずの宝箱

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「THE FIRST SLAM DUNK」感想

2022/12/3公開の映画、「THE FIRST SLAM DUNKの感想です。

 

出会いはアニメ、その後友人から原作を借りて、アニメ以上に面白くてドはまり。

そして新装再編版で原作を自身でも入手し、何度も読み返しています。もちろん特大ポスターは入手済み。笑

アニメから入っているので、原作を読めば勝手に脳内で音声が流れます。しかし原作を読んで以来、アニメはもう見れていません。(小説や漫画など、全般的に原作愛強めで映像化する時の改変が許せないタイプなので)

 

そんな私ですので、当時連載を読んでいた方々にすればにわかかも。

しかし、スラムダンクが映画になる、しかも監督と脚本は原作者の井上雄彦先生と知り大興奮しました。

声優が一新されるのは残念ではありましたが、それ以上に、原作絵が動いている、原作絵そのままがアニメになっているという感動が大きかったです。

そして監督と脚本を原作者自らが務めるなんて、解釈違いが恐ろしい私にしてみれば幸せな話。公開日をずっと待っていました。

 

ということで、ネタバレあり感想を。

気になる点もありましたが、原作の素晴らしさを痛感する映画でした!

 

 

あの山王戦が動いている

あの山王戦が、動いている。

もうこれだけでこの映画を見る価値はあると思います。

正直、山王戦をそのまんま全部映像化してほしかったと言ってしまえばそれまでですが、きっとたくさんの読者がそれくらいに思い入れのあるエピソードだと思います。

 

リョーちんが描かれ、その手書きイラストが動き出し、みっちーが動き出し、ゴリが、流川が、花道が動き出し、山王も現れ、それが試合入場となり、タイトルロゴがコート中央となってそのまま試合開始。

このオープニングでもう感動しました。

まじで原作絵そのまま。井上雄彦先生の絵が動いている。

 

リョーちんのバックボーンを描くことで、山王戦の前半はほぼほぼ描かれませんでしたし、後半戦も省略されているところが結構あります。

ですけれど、あの衝撃的なアリウープ、ミッチーの何度でも蘇る3P、あの流川がパスを出し、花道がリバウンドで流れを変え、ゴリがチームで勝つことを意識し、そしてリョーちんが掌に書かれたNo.1ガードに相応しい切り込み隊長をする。あの数々の名シーンに、展開はわかっているのに心臓をバクバクさせました。

 

なんと言っても、点を取られた直後、捕まったリョーちんの代わりに流川が運び、最後流川がダンクしようとしたその瞬間、「左手は添えるだけ」と呟きながら得意な斜め45度で待っていた花道を横目で見て瞬時にパス、そして花道が理想的なシュートを、試合を決めるシュートを入れる。あの最終局面の無音が最高でした。

「左手は添えるだけ」を口の動きだけで音声を入れなかったのがたまりませんでした。

絵だけで見せる、それはこの映画だからこそだなと。

てっきり、ボールがゴールに入る音で音が出ると思ったのですが、流川とのハイタッチで音が出るとは。いい意味で裏切られました。素晴らしかったです。あのハイタッチは本当に良かったですもん。

原作でも、あの見開きが最高でしたもんね。

 

スラムダンクの魅力って、テンポのいいギャグもあると思うんです。

しかし、この映画はギャグをほぼほぼ排除し、あくまで映画として、高校生がバスケをしているその等身大な、リアルな真剣さにこだわられていました。それが良かったと思います。

まるで本物のバスケの試合を見ているようでした。

 

タイトルの意味

「THE FIRST SLAM DUNK」って、スラムダンクの原点的な、全く新しいスラムダンクですよ~という意味のタイトルかなと思ってたんです。

だからこそ、最後の話である山王戦は描いてもらえないんじゃないかと少し残念に思っていたりしました。

 

しかし、見終わった今、そのタイトルの本当の意味がわかりました。

FIRSTとは1番、つまりガード。これはリョーちんの物語なんだと。

 

主人公の花道は、素人ゆえたくさんの課題に直面して成長し、主人公だからもちろん1番描かれる。

天才エース流川は花道に敵視され、敵にも敵視されるゆえ活躍の場も多く、その敵によってどんどん成長する。

元中学MVPのミッチーは怪我に悩まされ不良になってしまうというブランクを乗り越える。

ゴリはずっと仲間に恵まれず、ただ1人でもがいてきた(メガネ君はいるけども)けれど、強力な仲間を得た。

 

そんな中、リョーちんって背の小ささの困難は描かれていましたけど、他4人に比べるとその困難さはあまり描かれていないというか、すごく"安定している"ように見えていた。

原作の中で成長していく様は、他4人に比べてあまり描かれていなかった。

 

だからこそ、この映画はリョーちんが主人公なんだなと。リョーちんがこうなるまでにはこういうことがあったんだと、だからリョーちんはあんなにも"安定している"ように見えたんだと。

パンフでも井上雄彦先生がおっしゃってましたが、1人だけ2年生で間に挟まれているリョーちんだからこそ、成長する描写を入れる隙間が少なかったのだと感じました。

 

実は私、主人公の花道はもちろん大好きなので除外するとして、リョーちんがお気に入りなんです。

なので、そんな私にとって、リョーちんの知られざる部分が見られたこの映画はご褒美みたいなものでした。

 

正直、山王戦の盛り上がってきたタイミングでリョーちんの過去が入ってきて、それが頻度も多いし長いので、山王戦の熱がまた一旦冷めてしまう、という感じでもどかしかったです。回想はもうちょっと短めにしてほしかった。

けれど、なぜリョーちんはあんな風に"安定している"ように見えるくらい強いのか、その理由を知ることができてよかったです。

ガードらしいリーダーシップというか、あの強さはいなくなった兄を追いかけてのことだったのかと。キャプテンだった兄に副キャプテンを任されたからなのかと。あんな過去を乗り越えてきたからこそ、今の彼があるのかと。

また、ああいうドラマっぽさがある方が1本の映画にはなると思いますし。

ただ、回想がちょっと長かったかな、というのは正直な気持ちです。やっぱり山王戦を、バスケの試合をしている湘北を観たかった。

 

最後、アメリカ留学した沢北に相対するのがリョーちん、というのが疑問でしたが、あれはリョーちんが湘北を引退した後ということですかね?

湘北ではキャプテンしてるはずなので...特にキャプテンだった兄がいたのだから余計に。

なので、原作では成長していくリョーちんがあまり描かれなかった分、王者山王に勝つという兄の夢を果たした今、自分自身の夢に向かって成長していくんだという意味で、湘北のキャプテンを務め上げた後留学したのだと私は捉えました。

沢北も、流川に、湘北に負けて、まだ日本で学ぶことはあると思ったから留学は延期したのかなと。

もしそうだとしたら、なんて素敵なんだろう。

 

最後に

回想シーン減らしてもっと山王戦に集中させてほしいとか、流川は仙道を思い出してパスを出すという成長を遂げた描写がないとか、「大好きです、今度は嘘じゃないっす」という名シーンがないとか、そもそも前半がほぼないとか、不満がないわけではありませんが、それを上回る満足感でした。

原作の素晴らしさを痛感する映画でした。

原作を1番愛していて、1番理解してる原作者だからこそ作れる映画だなと。

原作好きのための映画だと思いますし、無性にまた原作を読みたくなる映画でした。

やっぱりスラムダンクが好きだ!

 

では、お読みくださりありがとうございました。