たーこいずの宝箱

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大好きなものへの愛を綴るブログ

劇場版名探偵コナン「ハロウィンの花嫁」感想

劇場版名探偵コナン第25作、「ハロウィンの花嫁」の感想です!

公開日である2022/4/15より2週間経ちましたので、ネタバレ感想を。

初見時にふせったーで感想はツイートしていますが、その後読ませていただいた皆様の感想を踏まえて2回目を見て、改めて咀嚼した感想になります。なのでふせったーに書いたものが多いです。

 

正直、そもそも諦めていた広報にはやっぱりがっかりさせられっぱなしで、新しい監督さんの"僕にしかできない新しいコナン"というコメント(まんまじゃないかもしれないけどこんな感じのコメントだった)には不安を覚えて、という感じだったので期待しないようにして観に行きました。

しかし、観てみたら!!めちゃくちゃいい映画だった!!!

 

「殺人ラブコメ」でちゃんと名探偵コナンだったし、どのキャラも愛されていたし、主役がコナンだったし、原作やこれまでの映画を最大限リスペクトしていたし...ここ数年で1番好きです。それくらい良かった。

記念すべき第25作目を飾るということ、そして大台の100億を超えるかもしれないということ、そんな重大な役目をこの作品になら託せる気がします。

監督さん、疑ってすみませんでした...(広報はもっとちゃんと仕事してほしい)

 

では、以下ネタバレあり感想です。いい映画なので絶対に映画を見てから読んでください!

 

 

佐藤さんと高木刑事

ではまずはやっぱり高木刑事と佐藤さんについて。

 

予告では佐藤さんがまだ松田の事を引きずっているような描写をしているように感じられて、若干心配していたんです。

揺れる警視庁で松田のことは吹っ切れて、もう前だけを向けている、今は高木刑事だけを見ていると思っていたから。そこにまだ佐藤さんが松田に対して何らかの想いや未練があるような描写はしてほしくなかった。

だからこそ心配していたんです。高木刑事との三角関係みたいに描かれちゃわないかなって。

しかし杞憂でした。

ただもう死神を見たくはない、あんな目にあわせた犯人を許さないという気持ちだけで、こだわるのは松田というよりも死神だった。

松田のことを思い出すよう言われてコナンと話しながら資料を見ていたときも、とてもカラッとしていた。そこに湿度はなかった。これがとてもよかった。

 

高木刑事も、まだ佐藤さんは松田の事...と少しは心配するんだけど、本気で佐藤さんはまだ松田が好きだと疑っているわけではないのがいい。

ここに2人の絆というか、今までいい関係を築いてこれたんだなってことが伝わる。

 

そしてすごく良かったのは、ちょっぴり不安になってしまった高木刑事の背中を押すのが他でもない白鳥警部であったということ。

「勝ち目がなかったのは僕だけだった」とあの白鳥警部が、佐藤美和子絶対防衛線のリーダーであった白鳥警部が言うのがたまらない。

そして、「取り返せばいい」とそう言って高木刑事を後押しする。

これ、とても重要なセリフだと思っていて。

白鳥警部は"佐藤さん"を取り返すため事件を取り返せばいい、そういう意味合いで言ったんだと思います。だって揺れるの時「殉職すれば振り向いてもらえる」と、そう言った彼だから。

しかし揺れるの時「ダメですよ忘れちゃ」と言った高木刑事は白鳥警部の言葉を聞いて、単に"事件"を公安から取り返せばいいと思った。

ここに佐藤さんをゲットできた男とできなかった男の差がありありと描かれていて、高木という男と白鳥という男の違いが明確になっていて、この点だけでもすでに製作者様方が原作を愛してくれていることが伝わってきます。

 

そして予告の時点からいいセリフだなと思っていた「僕が大好きで、恋焦がれているのは...!」のシーン。

まさか、ああいう文脈で発せられるセリフだとは思ってもみませんでした。めちゃめちゃいい文脈での言葉で、やっぱり名台詞かどうかってどんな場面でその言葉が発せられるかによるなと痛感した次第です。

普通、刑事を辞めてお嫁さんになろうかなって言われたら、たとえ佐藤さんが弱気になって言ってると気づいたとしても内心喜んじゃうじゃないですか。

でも高木刑事はそんな素振りも見せず、そのセリフを言うんですよ。高木刑事が好きなのは、恋焦がれているのは、尊敬しているのは、刑事である佐藤美和子であると明言するんです。

それは「ダメですよ忘れちゃ」を言った高木刑事そのもの。

このシーンだけでなく、本当に今回の映画は違和感のある言動がほぼなくて、原作そのままなのがとても幸せでした。

そんな風に高木刑事が佐藤さんの背筋を伸ばした後、でもお嫁さんになってくれるなら...とそれはそれで嬉しいという本音の部分を話そうとしたら、当の本人はもういないってのが最高ですよね。高木刑事と佐藤さんらしさがつまってます。

それにしても、高木刑事は佐藤さんのどんなところが好きになったのかって具体的には描写されてきていなかったと思うので、刑事としての佐藤さんが好きなんだと今回明言されて嬉しかったです。

 

そんな佐藤さんと高木刑事がいい関係性なのはいろんな場面で描かれていて、特に好きなのはプラーミャとの銃撃戦の場面ですかね。

佐藤さんが佐藤さんらしく突っ込んで撃ちに行った際、すぐさま高木刑事が援護に回るんですよね。上司と部下として培ってきた信頼関係が見て取れるようで。

佐藤さんの突っ込み具合を察してすぐ援護に回れるなんて、今まで場数を踏んでいて、佐藤さんならこうするだろうと予想できていたからじゃないですか。だからこそ、咄嗟に援護に回れるというのはとてもいい描写だと思いました。

そんな高木刑事が佐藤さんを守ろうとかばって上にかぶさり、重くて佐藤さんが動けないというのもまたいい描写でしたね~

今作はシリアスとコメディのバランスがとてもよかった。

 

そしてその際に受けたであろう銃弾によって高木刑事が負傷していたことに後から気づくというのがまたいい。

あんな体で高木刑事は佐藤さんが破れないドアを開けようと消火器を何度もドアにぶつけていたんですよ。最高かよ。

しかも、これって冒頭のシーンと被せてますよね。

訓練の結婚式で高木刑事が佐藤さんを守って撃たれたとき、訓練だと分かっていたにもかかわらず佐藤さんは死神を見てしまい、気分が悪くなってしまう。

しかし本物の銃弾を受けて負傷していたことが判明しても、死神を見ることはないんです。ここにこの短い間での佐藤さんの成長というか、変化がみられると思うんです。

映画で最初の状況と似たシーンをクライマックスに持ってきて、主人公の成長を感じさせるというのはよくある手法ですが、今回の高木刑事の負傷もこれに当てはまると思いますし、いい見せ方だと思いました。

 

その負傷によってもたらされたあのキスシーン、最高でしたね...

手術になると思うから、とねだって佐藤さんにキスしてもらうあのシーンはもう最高でした。

キスの角度が大人っぽくて、色気があってたまらなかったですね...

キス前の佐藤さんの青山原画の枚数にびっくりしてしまいました。先生ありがとうございます!

あのキスシーンがただニヤニヤしちゃうシーンになるのではなく、ニヤニヤしつつ感動してしまうシーンになったのは、これまで丁寧に2人の関係性を描いてきたから。

起き上がることのできない高木刑事に佐藤さんがキスするというのは原作でも描かれていましたが(古き傷跡と刑事の魂/命を懸けた恋愛中継)、今回そのシチュエーションで高木刑事からねだってキスしてもらうというのは逆転していてよかったですね~!

 

そしてそんなキスをのぞき見する少年探偵団の反応がとてもよかった!ザ・小学生という感じでとっても可愛かったです。

キスを真似するみんなが可愛くて可愛くて...私的には特に光彦が可愛かったですね。

命を懸けた恋愛中継でも2人のキスシーンを目撃した探偵団が、また目撃するというのはいいオマージュでした。

 

警察(除く警察学校組)

先ほど白鳥警部の話を出したので、次は警察について。

エピソードによっては無能扱いされてしまう警察ですが、今回は佐藤さんと高木刑事をはじめとして最初から最後まで事件に関わっていて、かっこいい姿が見られてよかったです。

 

先ほども話した白鳥警部と高木刑事が話すシーン、高木刑事と別れたあと小林先生から電話がかかってきて白鳥警部がご機嫌になる描写、最高でしたね!

正直あってもなくてもいいシーンじゃないですか。

だからこそ、入れてくれたのがとっても嬉しくて。

こういうちょっとした描写で満足度が跳ね上がるんですよね~!

小林先生とのラブを入れようと思いついてくださったのどなたですか!?ぜひお礼申し上げたい。

ストーリー展開上なくていいとしても、こうやって原作要素を盛り込んでくれる、ファンを喜ばせてくれる場面をちょこちょこはさんでくれるのは本当に嬉しいです。

単純なので、短くともこういうちょっとしたシーンで興奮しちゃうんです。満足度倍増しちゃうんです。ですから、スタッフの皆様ぜひ今後ともよろしくお願いします。

 

そういう意味合いでいくと、千葉刑事が帰還して苗子ちゃんがとびつくシーンもよかったですよね~!

ここで、みんなの前でも(同僚の前でも)ラブラブカップルな千葉苗と、仕事中はあくまで上司と部下な高佐の差が描かれていてニマニマしちゃいました。

いちゃいちゃな幼馴染カップル千葉苗と2人の時だけ恋愛ムードになる大人な高佐、どちらにも良さがある♡

 

そんな千葉刑事は普段なかなかかっこいいシーンを描いてもらえることが少ないですが、今回結局捕まってはしまったものの、大きい男を投げ飛ばすという見せ場があって嬉しかったです!

小五郎についてはまた後程書きますけど、今回ストーリー展開上カッコ悪く描かれるキャラというのがいなくて、キャラへの愛を感じてすごく嬉しかったんです。おそらくハロ嫁への評価が高いのはこういうところだと思います。

千葉刑事も健闘したんだから、捕まっても仕方ないよね、となる展開はとてもよかった。

 

あと千葉刑事に関しては、松田に変装した高木刑事を見た時「高木刑事何やってるんですか?」じゃなくて「松田さん?俺死んじゃった?」ってなったのが可愛かった😂

そう思ってもらえるくらい高木刑事の演技が上手かったってことですよね~!

柴犬とドーベルマンを足して2で割った感じとしか教えてもらえてないのにあんなに上手く演じられる高木刑事ポテンシャル高すぎる。マカデミー賞あげたい。

そして何より、高木刑事が演じてる松田を演じた高木渉さんがすごい。この方元太も演じてヤイバーもルパンも演じてるんですよ?声優さんってすごすぎる。

松田を演じてる際に高木刑事が言った言葉って、もちろん松田が言いそうなことを想像して言っていたとは思うんですけど、そもそも高木刑事は松田を知らないじゃないですか。

だからこそ、やっぱりハートが似ているんだろうなって。割と自分の思っていることをドーベルマン味増して喋っていたんだろうなって。本当に高木刑事すごいよ。美和子と幸せになれよ...

 

そんな高木刑事が千葉刑事を助けに松田に扮して地下へ行ったとき、千葉刑事の生存を確かめるためにカボチャを落とすのかっこよくありませんでした?

振動で意識があるかを確かめるというその技よ...流石刑事。高木刑事は捜一なんだと改めて突きつけられた。

至って冷静な高木刑事がホントかっこよかったです。

 

見せ場があったというのは風見もですよね。

自分のせいで降谷さんが首輪爆弾をつけられちゃって負い目を感じていたと思うんです。高木刑事見失って佐藤さんにひっぱたかれちゃったしね...(あのシーン最高でした😂バイトの子たちがビビッてたのも最高)

だから自分の頑張りで中和する方法を見つけて、降谷さんの爆弾を解体して、渋谷も中和することができた

それこそダメキャラとして描かれることの多い風見だけど、こうやって活躍する場面も描かれてよかったなと思います。

優秀な部下と降谷さんに言って貰えていたし...後で降谷さんから直々にお褒めの言葉がもらえるといいね。

 

冒頭の結婚式訓練シーンですが、結婚式で佐藤さんと歩くのは目暮警部だとばかり思っていたけど松本管理官!めっちゃ嬉しかった!

お久しぶりの松本管理官!みんな大好き松本管理官!

確かによくよく考えれば、立場的に目暮警部より松本管理官かも...と妙に納得してしまいました。

 

そして目暮警部にも私的に好きなシーンがあってですね。

ヒロの死に関して詳細は言えないと風見が言ったとき、佐藤さんと高木刑事はちょっと疑うというか、追及しようとしたじゃないですか。普通それが当たり前。

でも目暮警部は、今大事なのは千葉刑事だと諭して流したんですよね。

あれは経験値の差が出ているな~と。目の前の疑問や疑いを晴らすことだけに捕らわれず、やるべきことを優先順位をつけて行える大人な部分を感じました。

流石目暮警部。

そんな目暮警部、プラーミャの乱射の際に村中を助けたのは流石でした!

 

結婚式は元々潜入捜査だろうと予想していたのですが、捜査ですらなかった😂

しかし映画で結婚式なんで大イベントやってほしくないので一安心しました。やっぱり原作でやってほしいもの。

異次元で明かされた沖矢さんの正体とか、から紅で登場した紅葉など、やっぱりそこは原作で最初にやってほしかった~と思うのはしばしばなので...紅葉は一応原作で先に出てきてはいたけど、謎の女状態でしたからね...てか映画見てないと未だにキャラ掴みづらいような。

原作とリンクするというのは必然でしょうし興奮するけど、重要なポイントはやっぱり原作でやってほしいですもんね。

 

というか、結婚しちゃったらどっちか地方に飛ばされやしないかと心配なので、そういう意味では結婚せずこのままラブラブしててほしさあるな...

 

そうそう、ペイント弾で撃たれた高木刑事を目の当たりにして、また死神を見てしまった佐藤さんを由美タンが介抱するシーンも、さりげないながらキャラを大切にしてくれているのが伝わってきてよかったです。 

 

また、佐藤さんがコナンには隠さず死神が見えたことを伝えたり、尾行に気づいて部屋に入れたりするのがいい描写だったな〜と。

彼女は頭が切れるので、コナンを子ども扱いしていないので、こういった些細な描写も丁寧でよかったです。

 

新一と蘭

ではお次に、語らずにはいられない新一と蘭について。

やっぱり名探偵コナンですから、新一と蘭の恋模様も描いてもらわなければ、ということで毎度毎度期待している要素。

がっつりラブラブシーンを描かずとも、揺れる警視庁みたいに新一の蘭への恋心が事件解決につながったみたいな、そういうのが最高なんですよね。

その意味では、今作も量は少なかったにせよ良質な新蘭を描いてくれていたと思います。

 

まずはやっぱり訓練の結婚式で蘭に見惚れる新一ですよねぇ。

それに気づいたのが我らが園子様というのがね!最高ですよね!流石園子!

本編に園子が全然出てこなくて寂しかったんですけど、でもあのわずかなシーンで存在感を、園子らしさを全開に出してくれました。

新一から蘭に向けられた特大矢印に気づくのはやっぱり園子だった♡

 

しかもですよ、園子はコナンの隣にいなかったんですよ。

なのにコナンが蘭を見ていたこと、蘭のお嫁さん姿を妄想していたことにいち早く気づくなんてすごすぎる。流石園子♡

それに対して「正解です」ですよ!?いや知ってたけど!知ってたけども!ごちそうさまです!!しかもその言い方よ!

 

"新一は蘭を嫁にしたい"はここだけで止まず、なんと博士の家でも...

灰原がなんとその話を出してくれたのです。

私、灰原と新蘭の距離感はこれくらいが好きです。またやってんのね、ってちょっと呆れてるくらいの感じがいい。

もっと踏み込んだ描写をするとしても、あーあなんでこんな男を...って自分にも呆れちゃう感じがいい。なので今回の距離感はすごくよかったです。

 

可愛かったのは、そんな灰原とコナンの会話を聞いた探偵団の反応。

誰々~?と純粋に興味津々な歩美ちゃんが可愛かった。し、元太はなぜ小林先生を思い浮かべたのか?笑

身近な人で次結婚しそうだと思ってたのか?謎ですが笑えました笑

 

そしてとてもいいなと思ったのは、蘭の花嫁姿が描かれなかったこと。

これは天国へのカウントダウンで蘭の10年後を描かなかったみたく、想像にお任せ、なのが大正解だと思います。

新一はどんな花嫁姿を想像したのかな...いつか原作で見られますように。

まあ、謎にウエディングビジュアルで新蘭結婚してたけども😂(まさかのマーメイドライン最高でしたグッズ化ありがとうございました)

 

花嫁蘭ちゃんはこれくらいにして、他のシーンではお決まりの「蘭!」「新一!」がありましたが、ここはもう少し丁寧に描いてもよかったのかな~と。

あのシーン、蘭は小五郎のいる病院から避難することができないというのが大前提であって、もう無理かと思われた状況で避難できない蘭のことを想い、新一は諦めずに力を振り絞ったんですよね。

その新一の想いを蘭は感じ取ったので「新一!」となった。

 

正直、観ているときはこれに気づけなくて、唐突な「蘭!」「新一!」にちょっと戸惑ってしまったんですよ。あとから思い出していろいろ考えていたときに気づいたわけですが、これはある程度なファンかオタクじゃなきゃ気づけないような...

無意味に追加した「蘭!」「新一!」ではなくて、新一は蘭のことが一番大切で一番に考えているということ、みんなのヒーローになりたいわけではなくただ蘭を守りたいだけなんだということ、こんな名探偵コナンらしい描写なんだと分かるように、もう少し丁寧に描いてくれたらなぁと思いました。

避難できない蘭を、状況を把握していない蘭を守りたいというのはそれこそまさに揺れる警視庁ですからね。

蘭が窓の外を見て新一からのテレパシーを受け取るというのも揺れる警視庁そのままですし。

だからこそ、もっとわかりやすくてもいいのかも、と思いました。

 

そして事件に遠かったように見えた蘭が核心に迫る重要なヒントを持っていた、というのは事件から遠いようで一番近かった揺れる警視庁や時計じかけの摩天楼みたいで、とてもよかったと思います。

空手で犯人をやっつける蘭ももちろんかっこよくていいですが、こうやって事件とは縁遠いように見えて実は...というのは大好きなシチュエーションです。

なにより新一は蘭には危険な目に遭ってほしくないから、なるべく遠い所にいてほしいと思っているだろうしね。笑

蘭がヒントを持っていた、というのは燃えるメモを見た蘭の瞳の、表情の描き方から期待していたので予想通りになってホクホクでした。

 

そんな蘭がヒントを一番にコナンに伝えて、コナンも推理を一番に蘭にするというのもまた良かった!初期の名探偵コナン、という感じがしていい。

本編で勝平さんのお声が聴けなかったのは残念でしたが、無意味に電話の描写入れられるのも嫌ですし、こうやって自然な展開で新蘭を感じられて良かったです。

 

それ関連でいうと、蘭が、自分が子ども達がメモを拾ったという話をしてしまったせいで子どもたちの命が狙われた、と思ってしまったとき、コナンはもうちょっとちゃんとフォローしてやれよー!とは思いましたね😂

ただ、新一は推理オタクですから、もう事件のことに集中しちゃうと周り見えなくなるからね...そういうことにしておこう。

みんな無事だったし何より。

 

あとあと、小五郎が心配な蘭を気遣って、一人で帰れるから側にいてあげて、とコナンが言うシーンもよかったですね~!

もちろん、一人になる隙を作って公安に接触するタイミングを設けたというのもあると思いますが、蘭を気遣ったというのも本心だと思うんです。

蘭は小五郎の傍にいたいと思っているはずだ、でもそれを自分からは言い出せないんだということを察し、自身からそれを言い出す、もう二人の歴史があるからこその行動でとてもいいなと思いました。

 

そして!最大の!最高の新蘭は!まさかのちび新蘭

もう可愛すぎて悶えましたね。

しかもですよ、その描写がこんなにも重要な意味を持っているなんて最高じゃないですか。

まさか、松田が思い出していたかつての萩原がくれたヒントを新一も受け取っていたなんて。松田も新一も萩原の残したヒントで解決したなんて。

こんなに素晴らしい伏線ってあり?すごい。すごすぎる。

 

しかもですよ、あの新一が、世良ちゃんや赤井さんに会ったことあるのを全然思い出せなかったあの新一が、すぐに萩原との邂逅を思い出したのすごくないですか?

これ絶対蘭がらみだからなんですよ...蘭のことなら忘れない、むしろ蘭のことしか覚えていない。だって蘭にしか興味ないから(ホームズは別笑)。最高かよ。流石だぜ新一推せる。

萩原に「てめぇの女泣かせてんじゃねえよ」って言われて、自分は苦労していたのにあっさりと解決しちゃって、しかもイケメンで、というこの嫌なコンボ。

ちび新一は蘭の前で水道管破裂させちゃって、全然止められなくて、かっこつけたいから余計焦っちゃって、泣き止んでほしいのに泣くなよってぶっきらぼうにいう事しかできない。

なのにふらっと現れた謎のイケメンの男にあっさり収集させられちゃって、しかも「てめぇの女泣かせてんじゃないよ」って言われるんですよ。しかも蘭の頭ぽんぽんされてさ。そりゃあ忘れないわ😂

 

萩原も萩原で、小学生そこそこのガキに「てめぇの女」って言うの最高だし。萩原にしか言えん。

ちび新一も突然現れた謎のイケメンに解決されるというシチュエーションは最悪だったでしょうけど、蘭のことを「てめぇの女」と呼んでくれたのは内心嬉しかったに違いない。

そもそも、ちび新一が警察学校組と会っていたなんてファンの妄想の塊じゃないですか。きっと妄想したことあるって人が大半なんじゃ?

そんな夢みたいなシチュエーションをこんなにも素晴らしく描いてくださって感謝しかないです。

 

毛利家

では蘭の話をしたので、このまま毛利家のお話を。

眠らされたり眠ったりで蚊帳の外にされがちなおっちゃん。今回も事件からは遠ざかったんですけど、その遠ざかり方がよかった。

 

灰原を真っ先に助けに行ったおっちゃん最高でしたね!

結婚式で一番に一本背負いしたのは訓練だと分かっていたからとコナン的に結論付けられた後、灰原を真っ先に助けに行ったのがおっちゃんだったというのが素晴らしい描写。

 

結構な量の血が出ていてなかなかショックを受けましたが、紺青みたいに眠っていて蚊帳の外になるわけではなく、名誉の勲章で事件から遠ざかるしかないというのは良かった。

キャラが多い分、事件解決のメインから外れてしまうのは仕方がないと思っているので、こうやってちゃんと見せ場があって、理由があってその流れになったというのは好ポイント。

もちろん、小五郎がメインで事件解決する話は待ちわびてますけどね...

 

ああやって咄嗟に動ける小五郎が好きですし、毛利蘭はやはり毛利小五郎の娘だなぁと感じるポイントでもありますね。

咄嗟と言えば燃えるメモをすぐ自分のカバンで消火しようとする蘭も良かった!

自分のお父さんがあんな目にあって心配でたまらないはずなのに、ああやってすぐに行動に移せる蘭が好きです。

 

灰原を守って自分が事故に遭った小五郎を見て焦ったコナンがおっちゃん呼びしたのも私的良かったポイントのひとつ。

必死感がひしひしと伝わってよかったです。

 

入院した小五郎に麻酔が効かなくて騒ぐというのは笑いました😂

ストーリー的にシリアスにならざるを得ないのに、音楽やこういったギャグ要素、そしてラブコメ要素がとてもいい効果を生んでいて、観ていて全然重くならなかったです。

今回ラブコメ部分だけ先生が付け足しました、みたいな浮いている感じが全くなくて、しっくりきたのは、ストーリー上とても自然だったのは脚本家さん&監督さんの手腕でしょうか。

それこそ前作の緋色なんてラブコメ部分だけ色が違い過ぎて浮きまくりでしたもんね😂

こうやって、ミステリーとラブコメが共存してこそ名探偵コナンですから、本当に今作は良かったです。

 

そうやってどのキャラも大切に扱ってくれていたからこそ、英理さんがおっちゃんをお見舞いに来るシーンが少しでもあったらよかったのにな、と思ってしまいました。

本編は難しくてもエンドロールでちらっと映すくらいしてほしかったなぁ。

恋人みたいにラブラブな二人ですから、小五郎があんな目にあったら仕事がどれだけ忙しくても英理さんはお見舞いにくると思うんですよね。そして小五郎は照れ隠しで余計なこと言って、英理さんも素直になれず強がっちゃって、また喧嘩して蘭が止めるみたいな...

おっちゃんへの愛を、他のキャラへの愛を存分に注いでくれていたからこそ、ちらっとでも英理さんを描いてくれたら...という欲が出てしまいました。

 

灰原と少年探偵団と博士と

今回めちゃめちゃ嬉しかったのは、便利屋灰原と化さなかったことですね...!

原作では灰原に調べといてくれ!なんて投げやりな扱いをしていないのに、劇場版となると途端に灰原をまるで助手か秘書のように扱い出すコナン。

私この描写苦手だったので、今回は博士に道具を頼むだけで灰原に調べといてくれ、なんてことしなかったのでとてもよかったです。

博士には原作でもよく頼んでますからね。笑

 

博士についても、今回新一側から道具を頼んだというのが頼りにしている感じが表れていてよかったですね~!

博士から渡された道具を使う、という流れが多かったように感じるので。

久しぶりに実験失敗してる博士が見られたのも懐かしくて嬉しかった!

 

あと灰原の描かれ方が、探偵団のお目付け役みたいなポジションではなくてちゃんと探偵団の一員というか、みんなと対等な友達みたいな描かれ方をしていたのも嬉しかったです。

もちろんコナンと一歩引いて会話することは多々あるんですけど、探偵団のお母さんみたいに何度も何度も描かれるのは本意ではなかったので...

 

笑ったと同時にいい描写だ~!と思ったのは、クリスティーヌの代わりに探偵団がプレゼントを受け取りに行くことになった場面。

面倒だと思ったコナンと灰原はそそくさと逃げようとするんですよ。この仕草がもう可愛くて面白くて。

そしてこの場面がすごいのは、単なる笑える場面というだけではなく、小学生だけでおつかいに行かせるのは危険だと引率しようとするわけじゃないことがわかるってことなんですよね。

この時点でおつかいが危険になるとはだれも予想していなかったわけで、だからこそコナンも灰原もついていこうとしなかった。みんなだけで行かせればいいと思った。

この些細な描写にも、灰原は探偵団と対等な小学生の友達としての立場が表れていると思うんです。

もちろん危険な場面や、咄嗟の場面でお母さん役になります。でもそれはそういう状況下限定であって、普段はただの一友達なんだと分かるシーンが描かれたというのはとても嬉しかった。

 

そして探偵団ですが、とってもいい活躍の仕方をしていてよかった~!

ストーリーによってはお荷物扱いされがちな探偵団。

今作はすごくいい役割を与えられていて、本当によかったです。天国へのカウントダウンを思わせるくらいに、とてもいい描かれ方をしていたと思う。

 

プレゼントを代わりに取りに行く、というのは優しくて好奇心にあふれる彼らにとって自然なことで、その流れで新たな爆弾という手掛かりを発見するんですよ。

そして閉じ込められたコナンの救出方法がね...!完璧...!

布を持って右往左往するみんなが可愛かったです。灰原の的確な指示にちゃんと応える探偵団が愛おしい。

 

そして彼らの活躍はここで終わることなく、最後に巨大ボールで爆発を阻止するシーン。拡大するボールを支えるためのベルトを四方で固定するなんて、もうこんな素敵な活躍の仕方ってある?

しかも、これ探偵団だけで解決するわけじゃなく、エレニカと仲間たちが助けてみんなで成功させるってのがたまらんのです。

時計じかけの電車のシーンなど、コナン以外の人たちが活躍する描写があるの好きなんですよね。

ただコナンが無双するだけではなく、ああやって探偵団や警察、エレニカ達が協力したことによってコナンが力を発揮できて、そして初めて解決するというのが最高でした。

みんなで協力したからこそ最後の最後にコナンが魅せられるというこの流れ。

コナンの人を引き付ける力にみんなが協力してしまう。これこそ主人公だなぁと。

 

そうそう、「あの子はいったい何者なの...?」というエレニカのつぶやきの直後の歩美ちゃんの「コナンくーん!」が最高過ぎました。

直接の回答ではありません。歩美ちゃんは答えたわけじゃない。

けれど、何者なのか?のアンサーにこれほど相応しい回答はないでしょう。彼は何者か?江戸川コナン、それ以外の何者でもないんです(実際は工藤新一だけど...笑)。

身分や肩書は不要で、ただその人物であることだけが重要なんだなと改めて教えてもらいました。

 

警察学校組

ではではいよいよ警察学校組について。

正直、警察学校組についてはまだまだ読み込みが浅いので解像度が低く、うまく言語化できない部分も気づけていない部分も他に比べて多いです。

でも、とても良かった。これだけははっきり言えます。

正直、緋色の弾丸で見た予告で「え?次警察学校組がメインなの?あれ先生が監修してるとは言えスピンオフだしそもそもコナンにまだなってない時系列じゃね...?」と期待より不安のが大きかったです。

しかしそんなのは杞憂でした。本当に申し訳なかった。最高すぎました。

 

まさか佐藤さんと松田の1週間があんなにも濃くて、観覧車の爆発までの間に4人が集まっていて、その時巻き込まれた事件が現在軸の事件と大きく関わっていたなんて。

 

まさか揺れる警視庁の犯人がただ降谷さんをおびき出すためだけに脱獄させられてたなんてびっくりでした。

揺れるの犯人が脱獄なんてするタイプか!?また佐藤さんに死神見せたら許さんぞ??とか思ってましたけど、プラーミャという狂気的犯人に利用されたのなら納得。

あんなにあっさり死んじゃったのは残念だったけどね...やはり犯人には、悪いことをしたらその分だけ生きて罪を償ってほしいからね。

 

佐藤さんと松田ってあんなにいいコンビだったんですね。

暴走するバス止めるの私も見たかったよ!?もっと見せてくれてもいいんですよ...

松田が揺れるの時あんなにクールなのに警察学校編ではやんちゃ坊主だったの、萩原が死んだからかな...って思ってたんですけど、ただ単に仲間内か外かって感じだったみたいですね。

仲良くなるほど素になるの陣平ちゃんって感じ...わかるわ...

でも、萩原の死で性格変わっちゃってるんじゃなくて私はほっとしたよ。

 

萩原が死んだあとという時系列で、そんなに悲しい事ある?と思っていたのですが、その萩原が大活躍で、むしろ萩原がいなきゃ大惨事になっていたほどのキーパーソンでとても良かったです。一番のヒーローだったのでは?

萩原から松田に爆弾を止めるヒントが伝わり、ヒロがプラーミャに銃弾を残したことで降谷さん及びコナンが犯人を特定するにつながり、伊達さんの意思が高木刑事そして降谷さんに伝わり...そして萩原からコナンに伝わる。

それぞれの思いが、行動が次へ次へと繋がっていたことに気づいたとき、興奮が停まらなかったです。

 

計画を失敗に追い込まれて、自分の肩に銃弾を埋め込まれて、5人を殺してやると誓ったプラーミャ。

しかしそのうち4人は亡くなっていて、唯一生きていた降谷さんは殺せなくて、殺せなかったのはその4人から受け継いだものがあったからで...

そう思うとすごすぎてもう上手く言葉にできなくて。

 

プラーミャが5人の名前を挙げていくとき、一つひとつライトがその名前と共に消えていき最後ヒロと降谷さんの分の2つだけ光ったままの時間が長かった、という演出が最高すぎました。

 

4人が最後に集まったあの日のチームワークが凄くて、キラキラしていてまぶしかったです。

爆弾解体に挑む松田、見事な腕前で縄を撃ち抜き、素晴らしいアクションで犯人を追いつめた降谷さん、松田を守り降谷さんを飛ばし唐突な要求をちゃんと理解してみんなをまとめる伊達班長、無茶しかねない降谷さんの性格を理解して援護に回り、躊躇することなく犯人の右肩を撃ったことで降谷さんを守ったヒロ。そして松田に爆弾を止めるヒントを残していた萩原。

 

ここ、それぞれが死因となったものを持ち戦っているというのがすごいですよね。

私初見時には気づいていなくて、そういう感想を見て衝撃を受けました。

松田は爆弾解体中に殉職しているので爆弾解体、伊達さんは交通事故で亡くなっているので車のドア、そしてヒロは拳銃自殺しているので拳銃。

本当にすごすぎる。

 

原作を意識した描写はもちろん他にも。

降谷さんが縄を撃ち抜いたのは、警察学校編で鬼塚教官の首がしまったときの救出方法ですし、降谷さんを伊達さんが飛ばしたのは、その際土台となっていた伊達さんを思わせます。

犯人が戻って松田を殺そうとしたことから、犯人は1人だけだと気づいたのは松田だけだったというのは、「焦りこそ最大のトラップ」なので松田は冷静だったということが分かりますし。

ヒロの「下で待ってるから」はヒロが一人で火の中両親を殺した犯人を助けに向かったシーンを思わせます。

 

その「下で待っているから」は、終盤プラーミャを追ってヘリに飛び乗る降谷さんが言い残す言葉「下で待っていてくれ」と被るんですよね~

下で待つ=生きて帰る、生きて帰ってこい、になるのがね、心がぎゅっと締め付けられます。

ヒロの「下で待ってるから」に「約束はできねぇな」と言う松田がめちゃくちゃいいんですよ。

そこは嘘でも「任せとけ」くらい言ってもいいはずなのに、そこに関しては嘘をつかない松田。

萩原の死があったからなのかな...とかいろいろ考えてしまいます。

揺れる警視庁で下で待っていたのは松田だった、というのもまた心をえぐられる。

 

解決後に安室さんとコナンが話すシーン。

コナンが解決方法を思いついたのは昔助けてくれた人がいて、それが萩原って人に似てたと安室さんに話すあのシーン。

萩原って人に似てたとコナンが言ったときのあの安室さんの表情、リアクションが良すぎて心が締め付けられました。

萩原だと気づいたけれど、それをあえてコナンに言わず自分の中で噛み締める感じ...

彼らはもうこの世にはいないけれど、彼らの残したものはちゃんとあって、確実にそれが受け継がれていくんだなと。

職業柄安室さんは独りぼっちにならざるを得ないけど、こうやって誰かの文脈からかれらを感じ取れるのは思い出を共有しているみたいでとても幸せだったんじゃないかな。

自分が一人で思い出してるよりも、ずっとずっと彼らが確実にいたこと、それは受け継がれていることが体感できる気がします。

願わくば、いつか降谷さんが佐藤さんや高木刑事と、高明や山村警部と思い出を共有できる日が来ますように。

 

コナンのかっこよさ

では、上記に分類できなかったけど言及しておきたいコナンのかっこよかったシーンを少し。

 

まず、爆弾の部屋に閉じ込められた際、あの短時間にもかかわらず爆弾の成分を採取しようとするのかっこよすぎませんか?

しかも灰原は自分が助かるための布を下に落とすため、重りとしてポットをくるんだと思っているのがまたいい。

常人では思いつかない発想をあの短時間でやってのけたコナン、まじでかっこよくて主人公です。

雨どいを伝って走るのは千と千尋じゃんと思ってしまいましたが笑

 

プラーミャと屋上で対峙した際、「つか、プラーミャって呼んだ方がいいのか?」の言い方むっちゃかっこよくてやばかったです。

「つか」の言い方よ。

犯人の前では全く子どもぶらないコナンが本当にカッコよくて好き。

 

そして巨大サッカーボールで爆発を阻止するシーン。

みんなで協力してなんとかベルトを固定できたとき、「サンキューなお前ら!」と言って颯爽とスケボーで上に登ってくコナン君を見てもうなんだか感動してしまいました。

めちゃくちゃかっこよくて...

 

話は前後しますが、地下シェルターで安室さんと対面した際、安室さんから「君はいったい何者なんだい?」という質問を受けたにもかかわらず完全スルーで話進めるのめちゃよかったです。

安室さんもきっと答えてくれるとは思わずに質問してたのがまたいいですよね。

そもそも、コナンの正体を知らないのに拉致ってまで協力を求めるってすごい関係ですよね。好き。

 

演出など

ではその他演出などについて。

 

まず、最初のOPで興奮しました!

渋谷の街で広告の一部として「オレは高校生探偵~」をやるのかっこよかったです。

そして広告越しに見つめあう新一と蘭...あれはやばかった。いきなり新蘭ぶっこんできた!と序盤から興奮しちゃいました。

そしてOP終わり、渋谷の街を俯瞰するように上から眺めて、そこからズームして下に行って本編に戻るのめちゃくちゃかっこよかったです。

あの上から俯瞰する感じ、かっこよくて興奮してたんですけど、あれがすでに地形がキーワードになるという伏線だったのかも。

だとしたらすごすぎる。

 

コナンがみんなの情報教えてくれるところ、警察学校組のターンはどうするんだろう?コナンが知ってる情報をコナンが教えるという体でやっている以上、説明することは難しいけど関係なく説明しちゃうのか...?と公開前は思っていたのですが、あえて全然説明せずに本編入るのは良かったですね。

身動きとれなくなった安室さんがコナンに頼るため、同期の話をコナンに教えるというのも自然な流れでよかったです。

 

そして映画見終わってすぐつぶやいたくらいにめちゃくちゃ興奮したこと。

思わず劇場で声が出そうになったあのシーン。

まさか、劇場で「キミがいれば」を聴けるなんて思ってもいませんでした。

もうめちゃくちゃ嬉しくて嬉しくて。

アレンジもかっこよくて、現代的なんですけどどこかミステリアスで渋谷ハロウィンて感じでした(語彙力)。

やっぱり、ここぞという場面では「キミがいれば」が流れなきゃね。

メインテーマすら流れない映画もあるので、本当に嬉しかったです。

 

メインテーマのアレンジは予告の時点から最高でしたが、フルで聞いてもやはり最高でした。

その他のBGMもとてもカッコよくて、ポップで、シリアスになりすぎない良い効果を生んでくれていてよかったです。場面場面での曲の雰囲気が今までのコナンとはやはり少し違っていて新鮮でした。

大野さんから代わるということで少し不安でしたが、コナンらしさは残しつつ新たな風を吹かしてくれたと思います。本当に良かった!

恐らく大野さんはもうバトンタッチされるということでしょうから、来年以降も菅野さんが担当してくださったら嬉しいですね。

 

それと今作はきちんとミステリーしていて、さらに犯人なりの美学がある豹変するタイプの人だったというのが良かったですね。

プラーミャは誰?という分かりやすい犯人捜しがあり、過去の事件とのつながり探しがあり、謎の女性や団体の登場があり、爆弾のありか探しがあり...

アクションや爆破を派手にして人気キャラ活躍させてラブコメ足しとけばいい、みたいな映画も多いですけど、やっぱり名探偵コナンは「殺人ラブコメ」なので、一番大事なのはミステリーとラブコメのバランスなんですよね。

単純な犯人探しという意味では容疑者が2人しかおらずやや簡単でしたが、犯人探し以外での謎も多く、近年の傾向を考えれば満足できる内容だったかと。

アクションもありすぎず、とてもいいバランス感だったと思います。

 

そして言及しておきたいのが、渋谷の高低差のある街それごとを利用した爆発のトリックを思いついたのが先生であるということ。

先生、いつのまにラブコメだけでなく映画の根幹ともいえるトリックにまで参加されるようになったのですか...!

流石先生素晴らしすぎる、と思う一方、働き過ぎじゃないかな身体大丈夫かなと心配になってしまいます。

本当に先生すごすぎる。尊敬です。

 

プラーミャの正体については、タイミングの良すぎるメッセージに途中から花嫁怪しいな...と思っていたので予想通りでしたが、「ハロウィンの花嫁」がまんま犯人を指していたなんて。鳥肌物です。

そしてやっぱり映画の犯人には常人には理解できない犯人なりの考え方を持っていて、圧倒的な存在感を見せつけてほしいんですよ。

その点プラーミャは最高でしたね。

正体を知られたら殺す殺し屋とかまず設定で面白いし、もうまとめて町ごと殺しちゃえっていう発想が狂気的。最高。

コナンに正体を暴かれた後の豹変ぶりが最高でした。声優さんの演技が素敵だった。

 

この映画のすごいところは、原作愛、歴代映画への愛に溢れているところです。つまり、オマージュがたくさん

ということで、これまで挙げてきたものも含めてオマージュをまとめておきたいと思います。

〇映画のオマージュ

・爆弾の色が赤と青

「時計じかけの摩天楼」での爆弾で、最後残ったコードで切るべきは赤か青か、というのが映画の最大の謎でした。

 

・犯人乗って逃げようとしたヘリコプターのアングル

14番目の標的」で辻が乗ったヘリで、目薬に細工がされていたことからヘリが墜落しかけるのですが、その際のアングルが似ていたので、14番目を意識したのではと思っています。

 

・地形が解くカギ

蘭が見たメモは地形を表していた、というのは「迷宮の十字路」でコナンらが解いていた暗号が地形を元に解くものだったというのに通じるところがあると思います。

 

・ロシア語

ロシア人が出てきてロシア語がつかわれる、というのはラスプーチンを扱った「世紀末の魔術師」を思わせます。

 

・高木刑事が手術する

「瞳の中の暗殺者」では佐藤さんが手術していてなかなか意識が戻らない、というストーリーでしたので、これを逆転しているといえます。

 

〇原作(警察学校編除く)

・蘭がテレパシーを感じて窓の外を見る

これは「揺れる警視庁」です。原作では、東都タワーで爆弾解体をするコナンが蘭のいる帝丹高校が次の爆弾のありかでなければと思っており、その思いを感じとった蘭は事件のことを何も知らないながら「新一?」となって教室かは窓の外を見る、というものでした。

そして今作は避難することのできない蘭を思いながら爆発を阻止するコナンの思いを感じ取った蘭が、事態を把握していないながらも「新一?」となって病室の窓から外を眺める、というもの。

どちらも逃げることのできない蘭が危険な目に遭わなければいい、という新一の思いを遠くにいる蘭が感じとる、というものであり、わざわば窓の外をみる描写をしたことからも意識してくれているんだと思います。

また、そもそも「揺れる警視庁」であんなに短時間で暗号解読できたのは蘭のいる場所じゃなきゃいいと思っていたからであり、今作では避難できない蘭を想って諦めなかったのですから、この"蘭の存在が新一の原動力となる"という描写こそがオマージュであり、そもそもの名探偵コナンの根幹をきちんと描いてくれたということだと思います。

 

・高木刑事と佐藤さんのキス

満身創痍で寝転んでいる高木刑事に佐藤さんがキスするというのは、「古き傷跡と刑事の魂」もしくは「命をかけた恋愛中継」と似た構図です。しかし、高木刑事がおねだりするというのは映画独自なので、そこに2人の関係性の進展が垣間見えてニヤニヤしちゃいます。

そして、そのキスを目撃されるというのもどちらとも同じです。特に「古き傷跡と刑事の魂」の方は目撃したのが探偵団だったというのも同じですね。

 

・警察学校組の死因

伊達さんは交通事故で死んだため(「命懸けの恋愛中継」)車のドアを武器に。

ヒロは拳銃自殺したため(「裏切りのステージ」)拳銃でプラーミャの右肩を射撃。

松田は爆弾解体中に死んだため(「揺れる警視庁」)爆弾解体。

これは自分では気づけなかったので、このような感想ツイートを見て悶えました。

 

〇警察学校編

・コナンが布で受け止められた

ヒロ編では、火の中犯人を救出に向かったヒロを教場旗でみんなが受け止めるシーンがあります。

しかも、その教場旗を使うことを思いついたのもヒロ。なので布を落としたコナンと被るものがあります。

 

・降谷さんが縄を撃ち抜く

松田編で鬼塚教官が首を絞められた際、縄を撃ち抜いたのは降谷さんです。

なお、このシーンで土台となったのは伊達さんなので、映画で降谷さんを飛ばしたシーンにも通じる部分があると思います。

 

・萩原のヒントが松田を救った

萩原編では、松田の「アクセルしかない」という言葉が萩原を救うため、逆転したストーリーとなっています。

かつて松田が萩原を救っており、その萩原のおかげで松田が救われるなんて...

 

・佐藤さんと松田の1週間に起こった出来事

佐藤さんは松田と強盗犯を捕まえて、暴走するバスを止めて、自殺を防いだと言っていましたが、これは伊達編でコンビニのATM強盗を捕まえ、萩原編で暴走するトラックを止めて、ヒロ編で犯人の自殺を食い止めたことを意識してのことだと思われます。

これについても自分では全然気づいておらず、揺れる警視庁となんで内容変えたんだろうと思っていただけだったので驚愕でした。

 

最後に

ものすごく長々と書いてしまいました...

まだ2回見ただけでこれって、自分でも若干ひいちゃいます。笑

でもそれくらいにいい映画だったということです。

 

「過去最高傑作」との声も聴きますが、そうではないと思います。

過去作があってこその今作。今まで積み上げてきたコナンがあるからこその今作。

そんな気がします。

初期のコナンを見ているような満足感に包まれたのはいつ以来でしょう。

明らかに興行収入を狙ったようなキャラの目立たせ方やストーリー展開もなく、各キャラの扱い方も丁寧で、「絆」を感じさせる本当にいい作品でした。

 

来年以降も、これくらい原作への愛を込めた作品でありますように。

では、お読みくださりありがとうございました!