たーこいずの宝箱

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劇場版名探偵コナン「時計じかけの摩天楼」感想

金曜ロードショーで劇場版名探偵コナン第1作、「時計じかけの摩天楼」本編ノーカット放送を見た感想です。1997年公開の作品。

この映画、私大好きで、全コナン映画のなかでも1番に好きなんですよね。

 

では、以下ネタバレあり感想です。

 

もう好きすぎて何度も見ているので、最近では「ああ、こんなところにも伏線が!」とかそういう所をついつい見てしまうのですが、本当にこの映画は伏線の張り方も回収の仕方も見事なんですよね。

「特別コナンに詳しいわけではなく、この映画を初めて見る」という人と一緒に金曜ロードショーを鑑賞したのですが、「白鳥刑事が犯人」というミスリードに綺麗に引っかかってくれましたし、蘭が赤を残した理由にも納得してくれていて、コナンファンではなくとも楽しめる、きちんと我々視聴者も犯人探しができるだけの情報が与えられている、という点が素晴らしい作品だと思っています。

 

「ラッキーカラーは赤」、「新一も蘭も好きな色は赤」、「赤い糸の伝説というラブロマンス映画を観る」、「赤いポロシャツをプレゼントする」などはもちろん伏線です。「ああ、蘭は赤を選ぶな」と誰もが思う。

でも、蘭は赤を残す。その理由は「新一と繋がっているかもしれない赤い糸は切りたくない」という恋心。こんなうまい伏線回収の仕方はありますか!?

 名探偵コナンは「殺人ラブコメ」であるため、ミステリー要素と恋愛要素がバランスよく共存することがその魅力であると思うのですが、その一番理想的な姿が「犯人の思惑を愛が越えていく」ことだと思うんです。

本当に見事というしかないですよね。

 

先程述べたラッキーカラー以外にも、序盤から視聴者に「赤か青か」というイメージを植え付けてくるんですよね。例えば服。

ティーパーティーへ参加する蘭の服は青色、森谷帝二のネクタイは赤と青のしましま、蘭とのショッピングに付き合う園子の服は青色、そして蘭は赤色。

見れば見るほど、「うわ、ここもだ!」と伏線を発見できて、とても楽しくて、見るのを止められないんですよ。ミステリーの醍醐味ですよね。

 

また、4つの事件がうまいことリンクしてくるのも面白いんですよね。

序盤の黒川邸で起きた殺人事件は、アニメコナンの雰囲気を導入部分で出すことによって、すんなり映画に入れるようになっています。

その後森谷帝二のギャラリーでその黒川邸を発見。これが伏線になるんですよ。

 

2つ目に火薬庫から爆弾が盗まれたというTVニュース。そして連続放火事件。これがうまいですよね。さりげなく情報として入れるんですけど、もちろん伏線。

放火事件に爆薬を使ってるだなんて誰も想像しませんし、うまいですよね。しかも、犯人がどこから爆薬を手に入れたのかを明らかにしてくれるという点も嬉しいです。

 

3つ目に工藤新一が有名になったという西多摩市の市長の事故

これもただの回想かと思いきや、この事件のせいでニュータウン計画がつぶれたということが伏線に。

 

そしてラストに、工藤新一への挑戦ともとれる連続爆破事件

前3つの事件があるからこそ犯人が誰なのか、その動機は、方法は、すべてがすんなりと入ってくる。序盤の導入に思えた黒川邸の事件でさえ繋がりをもたせるというのが、綺麗ですよね。

しかも、黒川邸での事件も、西多摩市の事件も、森谷帝二による一連の事件も、すべて父子に関連があるというのがこれまた凄い。

 

という感じでミステリーの部分への思いはこれくらいにして、次はアクションの部分への思いを語りますと、コナンも蘭も人間を止めていないところがいいですよね。

スケボーの爆走とか、派手な爆破とか、今までの映画に通じる基礎の部分をつくったのはこの映画です。

しかし、最近だったとしたら、きっとあの扉は蘭の蹴りによって開いていたのでは?笑

もしかしたら伸縮サスペンダーで開いていたかも。笑

最低限の武器だけで困難に立ち向かい、あくまで人間の範囲でとどまっているという点も、この映画の好きなところです。

 

では最後にラブの部分を。いやー、究極の新蘭映画ですよね。ご馳走様です。

まず、そもそも時代のおかげですが、蘭がコナンの怪我を知らないというのがいい。今だったら携帯に電話して、蘭が心配して駆けつけて、と全く異なるストーリーになってしまいます。

蘭が一番事件から遠く見えるけど、実は一番近かったというのが、これまたいいですよね。

 

あと、好きな色を聞かれているのに、好きな子が好きな色を答えるとはどういうことですか!?なんなんですか!?最高に決まってます!!!

そしてその答えを聞いて、自分と同じだということに喜ぶ蘭。めちゃめちゃ可愛い。

 

次に、一人だったときは「大丈夫ですよ」って他人に気遣うことのできる強い蘭が、新一からの電話で途端に弱音を吐くというのが、いいですよね。

蘭の弱い部分をさらけ出せるのは新一の前だけなんです。しかも、新一が傍にいるとわかったらまた強くなれる。「新一がいれば大丈夫」という安心感。蘭の中の新一の存在感の大きさ。最高です。

 

そして、「ハッピバースデー、新一」。なんでこの状況でお祝いの言葉がすんなりと出てくるのよ!蘭ちゃん!あなたって子は、本当に、もう、最高なんだから...

「だってもう、言えないかもしれないでしょ」がね、切ないんですよね。しかも、死ぬかもしれないから最後に言いたい言葉が、「好き」ではなく「ハッピーバースデー」なのが最高ですよね。ここがまさに蘭ちゃんという感じです。

 

さらに、その言葉をうけてのあの名シーンですよ。映画史に残ると言っても過言ではない名シーン。

「切れよ...好きな色、切れよ」、「死ぬときは、一緒だぜ」

はー!たまんないですね!!!

どんなことがあっても諦めない新一は、蘭と一緒なら躊躇なく死を選ぶんです。いや、蘭を一人で死なせるなんていう選択肢は彼になくて、死ぬときまでも蘭を一人にはしない男なんですよ彼は。究極の愛です。

この言葉をうけて、蘭はまた強くなるんですよね。

突然崩れてしまい、救助隊員にコナンは連れていかれるし、蘭も扉から離れてしまう。一緒には死ねない状況になる。でも、「死ぬときは一緒」という新一の言葉だけで、蘭は強くなれるんです。

 

そして、最後のシーン。「だって、赤い糸は...繋がってるかもしれないでしょう?」

この発想!この表情!満点!!!

狂気的な犯人も、どんな事件も解決しちゃう名探偵も、可愛すぎる乙女心には敵うことがないんです。最高です。

それを聞いたときのコナンのリアクションも素晴らしいんですよね。にやけるとか、デレるとか、嬉しがるわけではなく、ただ驚く。

このあたりに新一にとっての蘭の「難事件」ぶりが表れていますよね。これからもその「難事件」ぶりを発揮して是非新一を振り回していただきたい。

変なリアクションをとらず、そのままエンドロールに入るというのは余韻に浸ることができてとても好きなんです。これは他のコナン映画でも多くがそうなっていて、とても好きなところです。

 

とここまで本編の魅力について語ってきたわけですが、コナン映画のいいところは、主題歌も最高という点にありますよね。

「時計じかけの摩天楼」の主題歌は杏子さんの「Happy Birthday」です。金曜ロードショーでは(毎度のことですが)流れなかったので、セルフエンディングしました。

この映画の重要な要素である「誕生日」に加え、新蘭要素を感じさせる歌詞が素敵です。私のお気に入りは、「それらしい言葉を並べても 伝わることなど始めからない」というフレーズですねぇ。 ちなみに、今も聞きながら書いています。曲を聞くだけで映画を思い出せるので、より好きになっちゃいます。

 

長々と語ってきましたが、ブログを書いていたら再度見たくなってきてしまいました。そうなんです、何回みても魅力があせない素敵な映画なんです。

長くなりすぎるので書きませんが、電車のシーンや小五郎の愛を感じるシーン、塩沢さん演じる白鳥刑事など、好きな部分はまだまだいっぱいあります。

ストーリーがシンプルで、伏線の張り方・回収の仕方が見事で、爆破もアクションシーンもたっぷりだけど人間をやめていなくて、そして新蘭要素もたくさんで犯人の思惑を純粋な愛が超えていく、というこのバランスの良さ!!もう、大好きです!!

 

では、お読みくださりありがとうございました!!